パキスタン支援活動
パキスタン南西部地震緊急医療支援活動
2013年9月24日にパキスタン南西部バロチスタン州(Baluchistan)で発生したマグニチュード7.7(米地質調査所:USGS発表)の地震で、現地協力機関であるNRSP(※)の初期調査によると、バロチスタン州アラワン県で530人のほか、周辺の県をあせて、少なくとも574人の死亡と、632人の負傷が報告されました。この数には瓦礫の下にいる人々は含まれておらず、今後も増えると予想されていました(10月4日時点)。このような状況を受け、AMDAは現地協力機関と共同で、緊急医療支援活動を実施しました。
(※)NRSP:1991年設立、パキスタン・イスラマバードに本部をおくNPO。活動は、パキスタン全土の54の地域に広がる。僻地の地元住民の能力開発による貧困対策を目的とし、マイクロクレジットなどの活動を行っている。
被災者の多くが女性と子どもたち
病院に搬送された子どもに 声をかけるAMDA岩本看護師 |
9月27日にAMDA本部から看護師を、バロチスタン州に隣接するカラチ(Karachi)に派遣し、28日からカラチ市内を拠点に、現地協力団体NRSPと合流し、地震の被害を把握と支援ニーズの聞き取り調査や、病院の視察を行いました。
29日に訪れた国立ジナ病院では約60人の被災者が着の身着のままトラックなどに乗り来院していました。地震が発生した時間に男性は外出しており、家に居たのは女性や子どもだったため、家屋の下敷きになったことによる外傷を伴う女性や子供の患者が多く見られました。症状としては四肢の骨折や脊椎の損傷、内臓損傷が多く、病院に来ている被災患者の中には地震で家族を亡くした人も多くおられました。特に家族を失った子どもの精神的ダメージが大きいようでした。まだ、同日訪問した私立のアガハーン病院では、市民病院から2人の重症患者が搬送されてきていました。うち一人は、複雑骨折により搬送されてきたものの意識があり、AMDA看護師に対して「わざわざ日本からありがとう。自分たちが忘れられていないと思うと嬉しい」と語ってくれました。
アジア相互扶助緊急救援ネットワークの稼働
病院では患者と付添者に無料で水や食糧を提供していましたが、今後さらに必要であることから、AMDAは国立ジナ病院へ飲料水を寄贈することに決定しました。また、多くの家屋が崩壊し、被災者の住居が不足していることから、NRSPを通じてアワラン地区などに竹製の仮設テント約2400個を寄贈することを決定しました。
地震があった地域は、治安上の問題から同国人も入域に危険を感じるという地域。今回の活動では、パキスタン・イスラマバードに本部を置き、国内54の地域で活動を行っているNGO・NRSPの協力により、迅速かつ安全に活動を行うことができました。同団体はは4月にAMDAが主催したアジア相互扶助緊急救援ネットワーク会議に参加した、ネットワークの構成団体。ネットワークの稼働が、実際の災害現場での迅速な支援活動を可能にしています。
■派遣者:岩本 智子
AMDA職員、看護師(米国ライセンス)
パキスタン・タッタ県洪水フォローアップ活動
ミシンを受け取った女性たち |
2010年7月に発生したパキスタン・タッタ県での洪水被害に対する医療支援活動のフォローアップ活動として、2013年8月20日に、現地協力機関NRSPの技術訓練を履修した18名の女性ひとりひとりに支援物資としてミシンが手渡されました。これは、緊急医療支援活動に参加した土佐調整員のパキスタン再訪に合わせ実現したもので、村のコミュニティホールで贈呈式が開催されました。受け取った女性からは「服の仕立ての仕事がしたいと念願し続け、今日こうしてミシンをいただくことができ、その夢が叶いました」と喜びの声が聞かれました。
この2010年に発生したタッタ県での緊急医療支援活動では、約2ヶ月に渡りAMDA多国籍医療チームを派遣し、NRSPの協力のもと、巡回診療実施しました。その結果、のべ約5,000人の患者を診療することができました。