石巻市雄勝町 鍼灸治療支援活動
雄勝町での鍼灸での一コマ |
宮城県石巻市雄勝町は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた地域のひとつです。石巻市立雄勝診療所も流され医師が居ない状況が続いていましたが、秋にはプレハブの診療所が建ち、10月からAMDA兵庫県支部の小倉医師が常勤医師として診療を開始しました。町の中心部の壊滅によって、震災前に約4300人いた住民数は1000人前後まで減少し、過疎化・高齢化が急速に進行してます。震災から一年以上が経過した現在も、雄勝町では人手不足で過労状態の漁業関係者が多く、また山間部に生活する高齢者は交通の便が悪く、狭い仮設住宅で行動範囲が限られています。このような状況では、エコノミー症候群、メタボリック症候群、ロコモーティブシンドローム(要車椅子、介護)および腰痛・肩痛・膝痛等を抱える住民が今後も増加すると考えられます。これらの症状の軽減もしくは予防を図るため、AMDAは小倉医師と協力して鍼灸による健康支援活動を行うことを決定しました。
AMDAが大槌町で実施している活動をモデルに、石巻市在住の鍼灸師を雇用して4月20日から雄勝町での活動を開始しました。毎週水曜日、地域の集会所など場所を変えながら、鍼灸師が地元の人々に鍼灸による健康サポート活動を行っています。これまでに4日間で、のべ30人の鍼灸治療を実施しました。(5月16日現在)
岩手県上閉伊郡大槌町からこの活動にコーディネーターとして参加したAMDAスタッフの声
AMDA大槌健康サポートセンタースタッフ・大久保 彩乃
まず、最初に移動距離がある事にビックリしました。私は、普段仙台に行く際も内陸から高速でいくので、初めて沿岸沿いを走りました。志津川から雄勝に行く道も悪く、瓦礫の処理状況も全く違うので、他地域の状況を知る事ができて改めて感じる部分がありました。こんなに移動するのが大変だと思っていなかったので、改めてこの東北に支援してくれている方々に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。雄勝の皆さんはとても穏やかで優しく私を迎え入れてくれました。同じ被災地でも雄勝の皆さんはとても不便に過ごしていられると感じました。鍼灸に来てくださった方もほとんど高齢者でしたが、痛みを抱えながらも元気でいる姿に逆にパワーをもらいました。問診の際に雄勝の方と触れ合う事ができて、私も一回だけでなく、これからも雄勝にいき支援したいと思う気持ちになりました。同じ被災地でも私は恵まれているんだなと思いました。
(大久保スタッフも被災し、大槌町の仮設住宅に暮らしています)