AMDAハイチ地震被害者に対する義肢支援プロジェクトへのサポートを経験して(2010/12発行ダイジェストNo.35掲載) – AMDA(アムダ)
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AMDAハイチ地震被害者に対する義肢支援プロジェクトへのサポートを経験して(2010/12発行ダイジェストNo.35掲載)

AMDAハイチ地震被害者に対する義肢支援プロジェクトへのサポートを経験して

ハイチ義肢支援事業は、多くの方々の温かいお気持ちを寄せていただき実施しています。首都ポルトープランス区西側のDASH病院の一角にAMDA義肢製作工房を設置し、これまでに28人の義足を製作しました(11月25日現在)。協力者のおひとりの活動をご紹介します。

義足中古部品の回収と発送について

熊本総合医療リハビリテーション学院 義肢装具学科 小峯敏文


集まった部品の一部

AMDAハイチ地震被害者に対する義肢支援プロジェクトと関わることになったのは、当プロジェクトリーダー八尾氏が筆者の教え子であったことによる。本年4月頃相談を受けた直後から中古部品回収に向けて活動を開始した。中古部品回収の大きな目的は、支援プロジェクトのコストを大きく削減するためである。義肢部品は非常に高価であり、今回発送した分を新規で購入したとすると1000万円をはるかに超えるであろうし、そうなると当プロジェクトの企画自体も困難になったと思う。加えて中古部品回収にも様々なノウハウがあるが、筆者の身近な友人に実践者がいたことから、効率的な計画を立てることができ、とても感謝している。

実際には中古部品の供与が可能と予測される義肢製作事業所のリストアップから始まり、4月初旬から5月中頃までの間、24事業所に対して八尾氏と分担して供与依頼を行った。その結果、11事業所から50〜60本分以上と考えられる部品を筆者の勤務先へ送って頂いた。今回のプロジェクトに対する八尾氏の強い思いが、筆者を始め快く協力して頂いた事業所に伝わったのだと思う。

さて、単に中古部品回収といっても以下の図のような作業の流れがある。


AMDA義肢制作工房で。

部品の出自が明らかになるような伝票の作成から発送までの作業の中でたくさんの裏話もあったが、快く手助けをしてくれた本学科の講師や学生ボランティアにとても感謝している。また一人でできることの限界と、逆にマンパワーの素晴らしさを改めて感じた作業でもあった。本年7月中旬に部品発送後、ハイチ税関事情もあったのか八尾氏の元に部品が届くまで2ヵ月以上の月日を要し、現実の義足製作活動も当初の予定より遅れてスタートしたようである。八尾氏のことであるから、限られた期限の中で素晴らしい結果を見せてくれると期待している。