2008年度年次報告 2008年度総括(2009/10発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2008年度年次報告 2008年度総括(2009/10発行)

2008年度総括

AMDAグループ代表菅波茂

 「困った時はお互いさま」に代表される「相互扶助」が日本の常識であることは1995年1月に発生した阪神大震災に百万人からのボランティアが神戸にかけつけたことで証明されました。その年は、メディアにより「ボランティア元年」と命名されました。わずか4ヶ月後に発生したロシア・サハリン大地震被災者救援プロジェクトや1996年2月に発生した中国雲南大地震緊急救援プロジェクトも「相互扶助」の考え方のもとに、両国がAMDA医療チームの受け入れに門戸を開いてくれました。「相互扶助」が目本の常識のみならず世界の良識になると確信した瞬間でした。

 [相互扶助]による尊敬と信頼の国際ネットワークの構築はAMDAの使命であり、「教える命があればどこへでも」のスローガンで緊急救援を行うAMDA多国籍医師団がその象徴です。国際ネットワークの拡充こそが、AMDA多国籍医師団による緊急人道支援活動をより迅速に、より効果的にします。2008年度の3つの大きな動きを紹介します。

 最初は、2008年7月にアフガニスタン支部が発足したことです。ラヒミ新支部長はAMDAが2002年にアフガニスタン・カンダハールの難民キャンプで、巡回診療活動を実施した際の現地NGOのコーディネーターとして活躍していました。現在、アフガニスタンの紛争は泥沼化していますが、近い将来、復興に向けて日本が積極的に支援を開始する時にはAMDAも必ず参加します。首都カブールがAMDAの活動する地域となります。

 2番目が、2009年2月にAMDAと連携協定を結んでいるマニパール大学と緊急救援研修プログラム協力協定を締結したことです。マニパール大学は今までにインド大陸やインドネシアなどで発生した大災害にAMDA多国籍医師団として緊急救援医療チームを積極的に派遣してくれています。AMDAは、マニパール大学を南西アジアにおける地域災害センターとして位置づけています。21世紀を中国と共に担うインドとの本格的連携です。その一環としての緊急救援研修プログラム協力協定は人材育成プログラムとして大きな成果が期待されています。

 3番目が、台湾国際医療支援チームとの災害協力協定です。この団体は台湾外交部(外務省)と衛生部(厚生省)直下の団体として2006年2月に発足しています。台湾政府と民間医療機関との協力機構です。中南米、アフリカそして太平洋諸国で数多くの実績を積んでいます。AMDAの「相互扶助」と台湾の「義」との連携になります。日本人に理解しがたい中国人の真の助け合いの精神である「義」を勉強したいと思っています。世界人口の約
2割を占める中国人との連携の貴重な第一歩です。

 最後に、うれしい報告です。2006年8月に認定された国連経済社会理事会総合協議資格が動き始めました。2009年3月に国連経済社会理事会とスリランカ政府が共同開催した「保健医療財務戦略に関わる地域閣僚会議」に招待されました。総合協議資格は政策提案できる資格です。「相互扶助」の視点から、国連と各国政府の政策形成会議にて積極的に関与していきます。

 2009年はAMDAが1984年に創設されてから25周年になります。AMDAグループも5団体*になりました。ここまで来られたのも皆様方のご支援の賜物と本当に感謝しています。今後も皆様方のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

*AMDA、AMDA社会開発機構、AMDA国際医療情報センター、アムダ国際福祉事業団、アムダインターナショナル