ネパール・ブータン難民キャンプ火災緊急医療支援活動(2008/5発行ジャーナル5月春号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール・ブータン難民キャンプ火災緊急医療支援活動(2008/5発行ジャーナル5月春号掲載)

 
 

 2008年3月1日18時30分、ネパール国ジャパ郡にある7つのブータン難民キャンプの一つ、ゴールダップ・キャンプ(人口約9,700人)で火災が発生しました。竹と藁葺きで作られた家屋1,512戸の95%が焼失し、被災者は財産のほとんどを失いました。幸い死者ゼロ人、負傷者7人と人的被害は軽微でしたが、9,000人以上がキャンプはずれの森林地域でテント生活を強いられています。
 AMDAネパール支部はブータン難民キャンプにおける一次保健医療の提供をUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)から委託されており、各キャンプに診療所を開設しています。出火後、直ちに緊急救援活動を開始し、毛布と衣料各約200着を被災者に配布しました。
 3月5日、AMDA本部は館野和之調整員をゴールダップに派遣。3月7日に、避難地の森林地域に仮設救護所を設置しました。この救護所を拠点にして3チームが巡回診療を展開しています。また、蚊の発生を防ぐため、難民ボランティアと協力して殺虫剤の粉霧を行いました。
 この救援活動には医師2人、医療アシスタント13人、本部調整員1人、ゴールダップ難民キャンプからのボランティア・スタッフ10人、難民ボランティア5人の計31人が参加しました。
 避難している乳幼児を抱えた母親が、「身近に医師や看護師がいると、本当に心強いです。元々2ヵ月に1度保健センターで保健指導を受けていましたし」と述べているように、安定した医療サービスが受けられることは、不安を取り除くことにつながり、キャンプ内では大きな混乱は発生していません。AMDAネパール支部のナーマル医師は、「避難地は水はけが悪く、6月に始まる雨期に蚊による感染症の増加が心配」と懸念を話しています。

焼け落ちた住居。鉄筋コンクリートの柱だけが
焼け残り、屋根と壁は全て焼失
東側の森にテントを張り、約9,000人が
仮住まいをしています。煙は夕方の炊煙
キャンプ内31ヶ所ある井戸の水質は問題ありませんが、避難場所より離れているので水汲みは重労働です テントで寄り添う避難民の家族
ゴールダップ難民キャンプのAMDA診療所。
奥の建物は母子保健センター
ゴールダップ難民キャンプにおける
保健センター外来病棟での診療風景
AMDAネパール支部
 27人の医師からなる執行部と、数百人が事業に直接携わる。事業対象地域は、ネパール東部、中西部、その2地域をつなぐ幹線道路周辺。中心地はダマック、ブトワール、ヘトウダで、ネパールにおける医療保健分野のニーズをカバーしています。
AMDAがネパールで実施している事業

1.医療施設の運営:ジャパ郡ダマック市にあるAMDA病院、ルパンデヒ郡ブトワール市にあるネパール 子ども病院の運営。それぞれ1992年、1998年から事業を開始し、内科・外科・救急・検査室・薬局・病棟などを備えた総合病院です。

2.ブータン難民のためのプライマリーヘルスケア

ネパール 子ども病院
3.HIV/エイズ予防・性感染症ケア4.医療保健分野の人材育成:ダマックに、毎年120人の学生が学ぶ保健人材養成センターを設立。卒業後、政府の試験に合格すると准看護師、地域保健助士、臨 床検査助士の資格取得が可能。日本のAMDA支援者の協力に奨学金も用意しています。
 
ご支援お願いします!