AMDA社会開発機構の船出に添えて(2007/8発行ジャーナル8月夏号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

AMDA社会開発機構の船出に添えて(2007/8発行ジャーナル8月夏号掲載)

AMDA社会開発機構の船出に添えて

 
特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構 理事長  鈴木 俊介
 
  これまで何度か言及させて頂いていたAMDA社会開発機構が、特定非営利活動法人として7月に出航いたしました。事務所を岡山県所管の総合福祉・ボラン ティア・NPO会館2階のゆうあいセンター内に移し、気分も新たに業務を開始いたしました。ただ現行事業に対する実施責任から、当分の間特定非営利活動法 人アムダの海外事業本部としての立場を兼ねたかたちの船出です。当面は近海を航行する小さな船ではありますが、「多様性の共存」という帆を張り、貧困削減 という壮大なテーマと向き合い、大海原に漕ぎ出していきたいと思います。

AMDAは平和を阻害する要因として戦争、大災害、そして貧困を挙げています。また平和を今日の家族の生活と明 日の希望が叶う状況と定義しています。3つの阻害要因に翻弄されることなく、また取り除くことができれば、地球上どこにいても一定レベルの平和を享受でき るのではないかと思います。しかし、本来そうした状況を生み出し維持するのは国家や国連の仕事ではありますが、そうしたアクターが時に紛争や弾圧、または 不作為の当事者になることは歴史が証明するところです。戦争と災害については、その発生原因に対し自らの関与が影響を及ぼし難い「外部要因」の影響力があ まりに大きく、たとえば個人や家族、コミュニティーといった小さな行動主体がこれを防ぐことは不可能です。「地域」を越えた大きな枠組による解決が必要に なります。しかし、そうした枠組みによる努力が実らない場合も多く、紛争や災害が発生し、難民や避難民への医療支援が急務となった場合は、緊急救援チーム を送るという手段が唯一の選択肢となります。

  一方貧困も平和を妨げる原因の一つです。貧困は、教育機会を十分に受けることができない、安定した雇用機会が得られない、悪天候や害虫など発生により収穫 が減少する、急な出費により貯蓄がなくなる、元本+高利返済のため生産資本である土地を失う、安全な飲料水や十分な生活用水を得ることができない、保健医 療や交通手段などの公共サービスへのアクセスが容易でない、など様々な側面が複雑に絡み合い、悪循環として家族やコミュニティーを覆い包んだ結果です。悪 循環は多面性を持っているため、その軽減、解決にあたっては多角的な取り組みが必要となります。さらに、個人あるいは家族の単位を対象としたミクロアプ ローチから国家レベルを対象としたマクロアプローチまで、様々なレベルにおける介入が可能です。従って、協力支援の形式、手法については多彩な選択肢を採 用することができます。ただし、難点は上記悪循環の仕組みや複合的なアプローチをよく理解し、現場における実施能力を会得しなければならいないこと、そし て長期戦を闘い抜く体力を備えなければならないということです。

AMDA社会開発機構は、こうした専門性と実行力を高める決意とともに新たな一歩を踏み出しました。以下に、当法人の目的をご紹介します。皆様のご理解とご支援を賜りたくお願い申し上げます。

特定非営利活動法人AMDA 社会開発機構
(現行事業については、特定非営利活動法人 アムダ海外事業本部として実施中)
〒700-0807 岡山市南方2-1-13 
岡山県総合福祉・ボランティア・NPO会館2階(ゆうあいセンター内)
TEL 086-232-8815 FAX086-232-8816


ニアス島緊急復興支援事業

  この法人は、主に開発途上国において、生計、健康、生活環境の向上を通じて貧困からの脱出を願う人々と共に、社会開発を中心とした国際協力事業を実施し、 また、国境を越えた市民社会のつながりを基盤とした社会教育の推進を図る活動等を通じ、貧困の軽減、社会の発展、平和の構築に寄与することを目的とする。