
ウクライナ人道支援活動初期から、AMDAと協力関係にあるメドスポットは、2022年11月から、毎月1回、2日間にわたって、ウクライナ西部ザカルパッチャ州の避難所4か所を巡回し、約100から120人の避難者を診察しています。医師が必要と判断した場合には、薬の提供やカウンセリングも行われます。AMDAはこの活動で使用される医薬品と医療資材を中心に支援しています。
6月には、メドスポットの理事長アンドラッシュ・シュパーニック医師とオンライン会議を持ち、避難所の様子をお見せいただいたり、避難者と画面越しにお話ししました。ロシア国境近くの都市から電車でウクライナ西部ザカルパッチャ州ウジホロドに避難してきた男性は、妻と高校生の娘1人と3メートル四方の個室で、2年以上避難所暮らしを続けています。アンドラッシュ医師によると、この避難所はシャワーとトイレは共同であるものの、他の避難所より環境も衛生面も恵まれていると言います。
「娘は避難前に通っていた学校のオンライン授業を受けており、妻は1年半前に仕事を見つけ、日中は保育園で働いている」と伺いました。家族が収入を得られるようになったことは、大きな一歩だと話す男性は、持病があり、部屋にいることが多いそうです。「メドスポットには2年以上お世話になっています。診察、血圧測定、心電図検査に加えて、薬を無償提供いただいています。私の健康管理も支援してもらっています。日本の皆さんには、私たちが経験しているような状況を、絶対に経験してほしくない。支援に感謝しています。」と話されました。
また、メドスポットと活動する現地団体代表者のナタリー氏は、「避難者の多くは爆撃により家を失い、先行き不透明な状況に、いつ終わりが来るのか、今後どうなるのか、という不安が日々大きくなっています。さらに、支援団体の数が明らかに減少しており、自分たちが忘れられていく恐怖もあります。ある避難者から、毎朝ベッドを整えても、何をしていいか分からずまたベッドに座る、といった声も聞かれます」と語りました。
アンドラッシュ医師は、「中東に注目が集まる中、活動を続けるための資金調達が厳しい状況です。一方、地元の医師が負傷者の手当のために戦闘地に向かったり、海外に避難したりしたため、ここウジホロドの医療は手薄な状態。今は、私たちがかかりつけ医のようなものです。」と支援を継続する意向を語りました。AMDAはメドスポットへの支援を継続します。