スリランカ 医療和平プログラム?2012年〜スポーツ交流・宗教交流〜 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

スリランカ 医療和平プログラム?2012年〜スポーツ交流・宗教交流〜

スリランカ 医療和平プログラム?2012年〜スポーツ交流・宗教交流〜

2012年10月5日から7日の日程で、AMDAはAMDAスリランカ支部の協力の下で医療和平プログラムパート?として、スポーツ交流プログラムと宗教交流プログラム、文化交流プログラムをスリランカ北内陸部に位置する歴史的都市アヌラダプーラ(Anuradhapura)にて実施した。

医療和平プログラムとは、相反する両グループに同じように医療を提供することで、和平構築に資することを目的とした事業で、スリランカの内戦停戦中の2003年から3年間、異なる3つの民族に対して「スリランカ医療和平プログラム」として、AMDAでは医療や保健教育などを行った。また2009年内戦の終結し、「スリランカ医療和平プログラム?」として2011年からこれまでで、4回の無料白内障手術を異なる民族、異なるエリアで実施した。また医療だけでなく、スポーツや宗教の交流を通じて次世代を担う若い世代の相互理解、和平教育を実現したいという思いから2011年8月に第1回目となるスポーツ交流・文化交流・宗教交流を実現し、スリランカでの和平プログラムの大きな一歩を踏み出した。 (昨年の記事 http://amda.or.jp/content/content0408.html )

2年目になる、本年度は、昨年同様にスポーツ、文化、宗教の3つの交流を柱とし、世界宗教者平和会議(WCRP)スリランカ委員会の代表も参加した。

参加したのは、仏教徒シンハラ人が大半を占めるアヌラダプーラ県、北東部に位置し、ヒンドゥー教タミル人が大半を占めるムライティブ県(Mullaitivu)、同じく北東部に位置し、イスラム教徒が大半を占めるトリンコマリー県(Trincomalee)から仏教徒、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒の中学生、教師、職員合わせて120人。

開会式では、AMDA、スリランカ言語・社会統合省、世界宗教者平和会議スリランカ委員会、アヌラダプーラ県、スリランカ教育スポーツ省からそれぞれの団体の代表、参加した教師、生徒が共にランプに火を灯した。続いて、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教の代表が平和と融合を願い祈った。

サッカー(男子)とネットボール(女子)の試合では、人種、宗教の異なる3地域から参加している中学生たちで3つの混合チームを作り、試合を行った。この混合チームでの試合は、人種、宗教の違いを超えた中学生たちの会話を促すとても良い機会になり、生徒だけでなく、審判である教師たちも混合チームの試合を楽しみ、打ち解けていた。最後に、中学生と教師にトロフィーと終了証書が授与された。

宗教・文化交流プログラムでは、中学生と教師がそれぞれの宗教施設を訪れ、お互いの信仰、習慣について学んだ。夕方には、全員集まり、見事なダンス、音楽、演劇などの文化的出し物をそれぞれが発表し、楽しんでいた。スリランカのセントジョン救急ボランティアたちも生徒の健康管理者、ガイドおよび通訳として参加した。

また、AMDAはスリランカ・ライオンズクラブと協力し、アヌラダプーラ県において無料診療を実施し、約150人を診察した。パナドゥラ地区医療部門統括者であるパンダラ医師(Dr.Palitha Pandara)ならびにAMDAスリランカ支部長サマラゲ医師(Dr. Sarath Samarage)指導の下、パナドゥラ地区ライオンズクラブの医師たちの協力により活動することができた。AMDA代表・菅波医師もこの診療活動に参加した。

プログラム最終日には、学生たちがアヌラダプーラ地区の名所を訪問し、スリランカの歴史を学んだ。

参加した学生と教師たちからは、本プログラムに対して高い評価の声と感謝の声があがった。また、「来年も本プログラムに参加し、再会したい」「来年もぜひ開催してほしい!」などの声も聞かれた。参加したAMDAスタッフは、プログラムを終えて、参加者全員が平和と融合の勝者であったように感じた。

このプログラムを通して、学生たちが、お互いの理解を深め、感謝し、尊敬し、そして違いを認め合うことにより、継続的な友情を共有するグループ形成に役立った。