モンゴル国視能訓練技術移転プラン事業 実施報告 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

モンゴル国視能訓練技術移転プラン事業 実施報告


AMDAは2010年から毎年モンゴルへ日本から専門家を派遣して子どもの目の健康に焦点をあてたセミナーや検診等等の事業をおこなってきました。
本年度は2015年8月26日からの3日間、岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業としての助成を受け、川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科、視能矯正専攻教授 高裕子先生ならびに視能訓練士協会 顧問 守田好江先生、モンゴル眼科協会、City Optic (ウランバートル市内眼鏡店)の協力を得て、子どもの目の健康に焦点をあてた健診活動を実施しました。[pagebreak]

今年で6回目となる今回は、以前より懸案となっていました首都ウランバートルから離れた郊外での子どもの眼科健診を、保健局、眼科医、並びに教育関係者、保護者とともに行いました。

ウランバートルから北西400KMにあるブルガン県のブルガン市にあるエルデミーン ウルゴー 総合学校で106名、県立第二小中学校で123名、そしてヒシッグ ウンドゥル村の小中学校で56名の眼科健診を行いました。 ブルガン県保健局の局長は、「これまでこのような健診はブルガン県では行われていなかったので、県の行政、保健局、教育関係、保護者を含め皆、喜んでいます。県を代表して心から日本の先生にも、日本の皆さんにも感謝しています。」と感想を述べました。感謝の歌を歌ってくれた子どももいました。

この3日間の健診で、健診に参加した子どもの20%に何らかの問題がありましたが大半は眼鏡を使用すれば視力が回復する例でした。しかし、12%の子どもは眼科受診が必要と思われる結果でした。
眼鏡が必要と判断された子どもたちには、後楽ライオンズクラブから贈られた眼鏡のフレームが無償で提供されました。このあと、レンズを合わせて眼鏡をつくることになっています。
また、ウランバートル市内でも目に問題のある子21名の検査を行い、このうちの4人は昨年の検査を受けた子どもが受診しました。その中には、眼鏡を受け取っても、その後、眼鏡をなくしたり、壊れたりしてそのまま放置しているケースもありました。
健診を受けた保護者からは「子ども達のために日本からわざわざ来て下さって心から感謝しています。 また親の無責任さにも気づかせてくださり、なんと素晴らしい活動でしょう。」という言葉をいただきました。

小児の眼科健診システムが整っていないモンゴル国内においては、小児の弱視、斜視、その他の眼科疾患は、明らかな症状がないため、発見が遅れたり、放置されたりすることが多く、教育に支障が及ぶ現状があります。子どもの目の問題の8割は適切な時期に適切な治療をすることで明らかな回復が期待されます。
今回の健診結果をもとに関係者は皆、子どもの眼科健診を学校保健の一環とするべく、行政、教育委員会、PTA、眼科協会全体での子どもの目に関する啓発が必要と考え、来年は社会全体にその必要性を訴えるためパネルディスカッションを行いたいと考えています。

AMDAでは今回の活動について、駐ウランバートル日本大使館、ウランバートル保健局にも活動の報告をし、来年の啓発活動への協力を依頼しました

■派遣者 プロフィール
難波妙/AMDA GPSP支援局 局長/調整員/総社市在住

■協力
川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科、視能矯正専攻教授 高裕子、視能訓練士協会 顧問 守田好江、モンゴル眼科協会、City Optic (ウランバートル市内眼鏡店)