マリノ村有機農業技術移転プログラム 2015年技術指導中間報告2 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

マリノ村有機農業技術移転プログラム 2015年技術指導中間報告2

AMDAでは2011年からアジアへの有機農業技術移転を目的としたAMDAフードプログラムに取り組んでいる。

このフードプログラムの実践圃場の一つであるインドネシアスラウェシ島マリノ村に、2015年5月から9月まで約4か月に渡り、農業技術者であるAMDAスタッフ1名を派遣し、技術指導にあたった。

その後の活動として、2015年9月から2か月間のレポートが、元研修生らから先週AMDAに届いた。
それによると、次の植え付けと収穫に向けて意欲的に[pagebreak]データ収集や堆肥作りを続けている様子で、私たちが伝えてきたことが着実に受け継がれ、実践で反映されていることが分かる。

今回は現地から届いた元研修生らのレポートを紹介する。

 

AMDAマリノ農場活動報

報告者 イカワティ 2015年10月21日から27日

日月 活動場所 活動内容
21-10-2015 Malino
Batulapisi
レポートの送信
大豆畑の除草 写真1
22-10-2015 Batulapisi 農家のハスナさんの堆肥の水分管理指導。田んぼの水路清掃
24-10-2015 Batulapisi AMDAマリノ農場の堆肥管理。農家のハスナさんの堆肥に発酵を促すための米のとぎ汁を追加。
25-10-2015 Batulapisi 大豆とインゲン豆の害虫対策のための自然農薬を散布。
26-10-2015 Batulapisi 稲の生育調査
(分げつ数、葉色、草丈のカウント)
27-10-2015 Malino 報告書の作成と送信

 

<活動写真>

大豆の畑(有機栽培)除草         実が入り始めた有機大豆

ハスナさんの堆肥の水分管理          インゲン畑の様子

インゲンのコナジラミの被害        お粥を使った自然農薬作り

インゲンの畑へ自然農薬を散布する    生育調査(草丈を計る)

生育調査(葉色の濃さをみる)      生育調査(分げつ数を数える)

稲穂が出始めた棚田の様子

<稲について>
有機栽培稲はすでに穂が出ていたため、水を抜きました。化学肥料の栽培稲と比較しても早い出穂です。一方で草丈は化学肥料のもののほうが高くなっています。最近になって私(イカ)は、乾季にも関わらず農家が小さな田んぼ2枚に有機栽培稲を植えていたことを知ったので、はじめてデータを取って送信をします。

<野菜について>
大豆とインゲン豆の混植えを試してみましたがコナジラミの被害がひどく両方とも生育がよくありません。
対策として新庄村の農家から教わった自然農薬を散布しています。

水田番号 1 2
植え付け後日数 93 93
葉色 4 4
稲の高さ 86 76
稲の分げつ数 20 18

 

 

マリノの現状と2015年度技術指導の目的

 

インドネシアのスラウェシ島の農村部では貧困層が集中しており、農業者の教育水準も小学校中退程度と低い。現地の農法では面積あたりの収量が少なく、ほとんどを自家用で消費してしまい収入につながらないため、貧困からの脱却が困難であるという現状がある。
そこで、2013年AMDAはマリノ村から2人の研修生を招へいし、新庄村のAMDA野土路農場にて6か月間の有機農業研修(稲作)を行った。帰国後、その研修生と地元の農家がマリノ村で有機農業普及活動を行っている。
マリノで収穫されはじめた有機栽培米は味が良く、少しずつではあるが高級米としての販路も着実に開拓できてきている。今後の目標はこの有機栽培米の収穫量を上げるための技術指導を研修生や近隣農民に行い、マリノ村全体の生活水準を向上させることである。