山陽学園大学大学院講義「国際医療論」講義紹介 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

山陽学園大学大学院講義「国際医療論」講義紹介

次世代教育の一環として、学校関係で実施している講義について紹介していきます。

山陽学園大学大学院での講義を担当するのは、昨年(2017年)に続き今年で2年目で、今年はスタッフ3名で通算計4時限の講義を担当しました。
受講生は、現役の看護師として勤務しながら学んでいる2名です。
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最終回である2月26日は、昨年8月に起きた武力衝突によってバングラデシュに逃れてきた、多くのロヒンギャ難民への医療支援を中心にお話しました。緊急救援と最も異なるのは、バングラデシュ国内は緊急時でなく平常時であることです。そのため準備にあたっては、日本のAMDA単独ではなく、言葉や文化・宗教・法律面など現地のことをよく知る支部の力が、迅速な支援に繋がったことを話しました。国の事情、文化の違い、法律や制度の違いを理解しながら、一緒にやっていくことの大切さをお話しました。

  • ロヒンギャ難民とはどういう人たちか
  • 90年代にさかのぼったAMDAの過去のロヒンギャ難民支援
  • 今回の難民大量発生の経緯
  • 支援開始決定からどのような準備を必要としたか(政府からの許可取得、診療所の開設、医師・コーディネータを含む人材の拠出、事務所・宿舎の確保、移動のための車両確保、ドライバーの準備、医薬品の準備など)
  • 準備に関しては、日本での留学経験があるナイーム医師率いるAMDAバングラデシュが地元の情報収集力・ネットワークが生きたこと
  • バングラデシュ国内で、支部自ら寄付を集めて迅速な活動開始に繋がったこと
  • 難民キャンプ内の様子、難民の生活環境、これまでの疾患内訳

少人数での講義のため、距離感が近く和やかな雰囲気ですすみ、90分の時間を過ぎても熱心に質問が続きました。

山陽学園大学大学院 看護学研究科 院生(M1)の感想

Aさん

ロヒンギャ難民支援の講義の数日後に、ロヒンギャ難民のキャンプで難民の方が象に襲われたニュースの記事を見ました。講義の中で見させて頂いた難民キャンプの状況がこの記事を読みながらすぐに浮びました。多くの難民の方がおられ、まだまだ支援が行き届いていない状況下で苦しい生活が長期化していること。生活もままならない状況下で、自然との脅威にも脅かされていることなど、先進国の余りある医療とはかけ離れ、医療が不足している状況の人々が世界には多くいることを講義の中で学びました。

支援をするためには、支援が始まるまでの準備が必要で重要であること。また、支援をするには、単に苦しい状況への支援だけでなく、支援される方の支援後の生活を見据えた支援が必要であること。また、支援するまでの現地の情報取集、国連や国との調整や何を支援するのか、支援後の状況はどうなるのかを支援する前から判断し、支援後までにつなげることが重要で大変であることがわかりました。

現地の資料や映像を講義の中で見させていただくことができ、日常では体験できない貴重な学びとなりました。ありがとうございました。

Bさん

ロヒンギャ難民の現状とAMDAの支援を学ぶ事ができた。私は、ロヒンギャ難民の事をこの講義で初めて知った。とても多くの人が難民となり、それを受ける事はとても大変な事であるが、重要な事でもあると感じた。

私は、生活環境、教育、医療などに支援が必要ではないかと考えた。講義を聞いて、私が考えた問題は支援されていた。特に支援のために現地に入る事が、容易ではない事を話されていたのが印象に残った。バングラディッシュAMDAが主となり、現地の責任者と関係を作る事により、日本から支援に行く事ができた。顔の見える関係が、支援を受けるきっかけになったと考える。

私は、病院で感染対策を担当している。対策を遵守してもらうよういくつかの職種の人に説明を行っているが、まず顔の見える関係を築く必要があると考えた。

今回の講義では、いかに多くの現場の情報を得るかという事と、顔の見える関係を築くことの重要性を学んだ。

大学院科目「国際医療論」におけるAMDA講師による講義について

山陽学園大学大学院看護学研究科 研究科長 田村裕子

山陽学園大学大学院看護学研究科では、「国際医療論」という科目で、AMDAの海外の現場で活動されている方々を講師にお迎えし、御講義を頂いております。AMDAでは、「救える命があればどこへでも」という理念のもと、様々な国際貢献活動を実践されておられます。本学の「愛と奉仕」という教育理念に相通ずるものがあると講義をいただく中でも感じており、また、院生も感銘を受けながら講義を受講させていただいております。講義では、リアルタイムで色々な国での活動を紹介していただくことができ、日常の生活では、なかなか思いを巡らせる事ができないような国際的な視点で医療・看護を考えることができます。また、発展途上国の課題とその国・地域ならではの取り組みを理解したり、グローバルな視点で健康課題を考えることができる貴重な機会となっております。ご多忙の中、このように貴重な御講義を本学大学院のために御講義いただけますことに心より感謝申し上げます。