岡山県立津山東高等学校看護科での講義 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

岡山県立津山東高等学校看護科での講義

プロジェクトオフィサー 橋本 千明

AMDA人財育成の一環として6月5日、岡山県立津山東高等学校看護科の2年生に「ボランティアについて」というテーマでお話させて頂く機会を頂きました。この学校の看護科は、看護科3年+専攻科2年の5年一貫看護師養成課程です。今回講義を聞いて頂いた2年生はこの秋に戴帽式と呼ばれるナースキャップを頂く式があり、その後初めての病院臨地実習へ臨むそうです。

懐かしい木の香りのする学校の廊下、本棚に整然と並ぶ看護雑誌や使い古された教科書などを見せて頂きながら、改めて私自身の初めての実習を思い出しました。関わった患者さんは、[pagebreak]慢性閉そく性肺疾患という病気の方でした。苦しそうに呼吸する患者さんの姿を見るのがつらくなり、病室へ訪れることができなくなった私に、担当の指導看護師は「逃げずに、どうすればいいのか考えなきゃダメだよ」と肩をたたきそのまま、風のように患者さんの部屋に入っていき話を聞かれていました。自分の甘さを反省するととともに、厳しい言葉と温かな心で関わって下さった指導看護師や実習グループの学生仲間、担当教員の方々の顔は今でも鮮やかに覚えています。実習の頃を思い出したひとときでした。

「人は誰にでも他人の役に立ちたい気持ちがある」、「この気持ちの前には、国境、民族、宗教、文化等の壁はない」「援助を受ける側にもプライドがある」。これらは、AMDAの国際人道支援の三原則(ボランティア三原則)です。講義の中でこれらAMDAの考え方、加えて熊本地震、東日本大震災などの過去の災害でのボランティア事例、現在注力している南海トラフ災害対応準備についてお話しました。皆さん熱心に聞いて頂き、感謝です。最後に3名の学生さんより、当日の講義についてご感想を頂きましたのでご紹介いたします。

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〇ボランティアについて、私は何となくでしか捉えていませんでしたが、今回ボランティアの目的、参加によって何がもたらされるかを具体的に知ることができました。これまでの生活では、何となくのイメージで活動に取り組んでいたためか、いまいち自分が何の役に立っているか曖昧でした。それらはおそらく「学年参加だから」「すすめられたから」という理由づけをしていたからで、どのような問題のためにどんな自分の力をどうやって発揮するかを考えていなかったからでしょう。これから参加するボランティアはまず考えることからスタートしたいと思いました。
(中略)
AMDAの理念の実現については、AMDAだけでなく他のボランティアにも適用できると思いました。ボランティアは「助けてあげる」のではなく、「現地の人、同じ目的を持った人と共に問題を解決する」活動なのだとわかりました。援助することで、相手のプライドが傷つくこともあるとは考えていなかったですし、この講演でボランティアへの心構えが大きく変わりました。これからのボランティア活動では、問題について考えること、協力してそれを解決すること、善意を押し付けないことを大切にしていこうと思います。

〇(抜粋)
私は、今後の進路について迷っていますが、どのような進路についても、将来は非営利な医療を、人を助けるために提供できる者になりたいと考えています。しかし、今の私は勉強不足であり、まだ知識も経験も浅いです。今後、人との出会いや今の生活を大切にしながら、看護についての勉強のみならず、社会的なことについても勉強していきたいと思います。

〇(抜粋)
これから、自分もボランティアを行う時、以下のことを大切にしようと思った。
ある程度情報を仕入れておき、そのうえで自分が何を行うかを考え準備しておく。自分から壁を作らず壁を破って自ら行動する。助けられる側にもプライドがあることを忘れない。情報を共有し、協力しながら効率良く動けるようにする。この講演で「ボランティアをやりたい」という意欲がでてきました。