AMDAインドネシア アラニ アクバル ファクリ
(訳:近持 雄一郎)
【6月】
南スラウェシ島マリノ・バトゥラピシ地区にあるAMDAマリノ農場では、各生産者が有機米と併せて様々な農作物を作っています。それぞれの契約農家が生産している有機野菜や果物を紹介します。
マカッサルで購入した種で最初に有機レタスの栽培を始めたのは現地生産者のタリブさんとジャマルさんです。この動きが少しずつ周辺にも広がり、お米以外の野菜や果物を有機農法で栽培する農家が増えています。これまで同地区では、からし菜、人参、玉葱、キャベツなどを植えてきました。
現地生産者のハゲさんは、有機のコーヒーとグァヴァを生産しており、昨年度の収穫量は50リットルほどでした。市場で販売しているほか、一部は自宅用に消費しています。グァヴァの販売価格は1キロあたり5,000ルピア(約37円)で、いずれも手間をかけて栽培されています。「コーヒーもグァヴァも、毎月一回、肥料ともみ殻燻炭を加え、有機の自家製栄養スプレーを吹き付けています」とハゲさん。奥さんは有機で玉葱を作っています。
マリノの生産者は、化学除虫剤を使用するかわりに、“ブンレ”と呼ばれる伝統的な器具で稲につく害虫を駆除しています。小さな竹と袋で作った道具で害虫を捕まえ、袋の上から踏んづけて駆除するという方法です。
【7月】
大半の農家が7月中に米の収穫を終え、刈り取った稲を日干しにします。水が豊富にあるわけではない為、水田に再度水を張ると他の農作物を作ることができなくなってしまうので、翌年の田植えまで米は作りません。水は近隣の河川から引いています。
全体の刈り入れを行う前に、全ての有機田んぼで稲のサンプリングを行い、穂の重量を計ります。これは翌年の田植えの際にどれくらいの肥料を蒔けばいいか参考にする為です。収穫量が減れば、それに応じて有機肥料の量を増やすことになります。
【8月】
稲の刈り入れが終わると、来年度に向けて農家たちはもみ殻燻炭作りに取り掛かります。取り除いたもみ殻をまとめて近くの施設に持っていって焼くのです。先述のジャマルさんによれば、もみ殻を焚く工程は、もみ殻の状態により三、四時間から六時間程度掛かります。雨季が12月頃から始まる為、収穫からそれまでの期間を燻炭作りにあてます。
生産者で集まりミーティングを行った結果、今年度の出荷量は713キロ、販売価格は1キロあたり20,000ルピア(約150円)に決まりました。販売前に米の品質を各農家がチェックし、表面が汚いものは再度きれいにし、割れている米があれば取り除きます。
マリノ農場で生産される有機作物は、有機でないものと比べて単価が高い為、生産者の一人は、「直売すれば、農家の収入アップにつながる」としています。近隣の大都市マカッサルでは、中から上流階級の健康志向の消費者を中心に有機米や有機野菜の需要があるようです。
8月、別件でインドネシアを訪れていた菅波代表が同地を訪問し、生産者たちと交流しました。ミーティングの中では、有機米に関する報告から、現地における民間療法について等、様々な内容が共有されました。今回、現地サイドから、「尿病患者の間で需要があり、経済的な価値も高い赤米を栽培したい」との要望が出されました。菅波代表はこの計画を快く承認し、2019年度より赤米の栽培が始まる予定です。
今後しばらくの間、AMDAマリノ農場では、もみ殻燻炭作りと精米に精を出すことになりそうです。