ハイチ国内避難民医療支援(2025/4発行ジャーナル春号) – AMDA(アムダ)
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ハイチ国内避難民医療支援(2025/4発行ジャーナル春号)

AMDA 本部 近持 雄一郎

 2024 年 12 月 30 日、AMDA ハイチ支部は、ハイチの首都ポルトープランスにある国内最大規模の避難民キャンプにて、医療支援活動を実施しました。

 ハイチは、2021 年 7 月にジョベネル・モイーズ大統領が暗殺されて以来、情勢不安が続いています。また 2010 年の大地震やハリケーン等、過去の自然災害が深く影を落としており、治安は悪化の一途を辿っています。

 特にポルトープランスでは、犯罪組織による市民への無差別攻撃、強盗、誘拐、殺人などが発生しており、法の支配が、事実上、崩壊しています。さらに、ギャングが学校を占拠しているため、子どもたちは教育を受ける権利を奪われています。このため、70 万人を超える市民が、各地に設けられた避難民キャンプに身を寄せている状況です。

 支援活動は、周囲の安全を考慮して、内務省の監視の下で行われました。AMDA ハイチ支部の医療チーム(歯科医師 1 名、医師 1 名、看護師 1 名、医療助手 2 名、コーディネーター 1 名)は、大人 165 人、子ども 24 人を対象に、診察と薬の処方を行いました。成人には、頭痛、胃痛、発熱、高血圧、感染症、喘息、糖尿病などの症状が見られ、また児童には、下痢、風邪、栄養失調、発疹、感染症などが多く見られました。このほか、精神疾患の疑いがあるケースも報告されています。

 ハイチ国内の治安悪化に伴い、海外からの人道支援団体が次々と撤退する中、継続的な支援が急務となっています。