黄熱の診断


 浸淫地帯でも流行地の外でも、黄熱の診断は難しい。病初期に有痛性の熱発があれば、いつでも本症を疑う。全身期には熱発性黄疸から、A,B,C,E型肝炎レプトスピラ症、黄疸を伴ったマラリア(胆汁分泌のある弛緩熱、悪性の経過)を鑑別除外する。非定形型や軽症型では他のアルボウイルス感染症を考えねばならない。診断確定はウイルス学的、血清学的検査(ELISA法による血中の抗原検索)でなされる。
ウイルスの分離は、黄熱ウイルスがバイオセーフティーレベル3に指定される感染力の強いウイルスのため、特別な研究室で行なわれる。孤発例を見付けたり、非定形型を確定したり、しばしば緊急となる予防法を決定したりするために、これは不可欠である。

 浸淫地帯で黄熱の疑いで死亡した患者の肝の病理組織学的検査は、診断につながる病変が明らかとなるため、地元の病理解剖医によって、積極的に行なわれるべき。流行察知のきっかけともなるからである。肝小葉の小柱の崩壊、肝細胞の微小血管への脂肪沈着、一部の肝細胞の硝子様壊死とCouncilman体の形成を認める。以上3つの所見が肝葉中央部優位に認められれば、重症型とほど確定診断出来る。生存中の患者での病理組織学的な検査は、出血性障害がある限り穿刺肝生検が禁忌。経過良好な型では、病理組織学的に特徴的なものはなく、腎は病理組織学的にさらに特長に欠ける(尿細管の硝子変性)。


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