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治療


  衛生管理の行き届いた地域では、殆どの麻疹症例は、鼻、口腔、眼の殺菌の他、治療は必要でない。熱帯地方ではそうは行かない。
 
 全ての症例で不可欠な治療:鼻、喉、時には眼の殺菌(抗生剤軟膏または点眼を1日2回)が小児では必要である。
抗マラリア薬(chloroquine, quinine, halofantrine)を欠かさず投与する。
マラリアを発病した場合は、地域のプロトコールに従ってchloroquine, quinine, halofantrine等で治療する。
重感染の頻発を考慮して、広スペクトラム(cyclines, sulfamethoxazole-trimethoprime)の抗生剤を処方する。
小児に栄養をつけ、適当量の水分補給をすることが肝要である。初めは経鼻チューブまたは点滴による栄養補給をすることが多い。水分、糖分、蛋白を多めに含んだ内容(ミルク、アミノ酸製剤)にする。入院した子供では、その母親にバランスの取れた栄養素を教えれば、クワシオルコルを予防出来る。
 
 合併症型の治療ビタミンAを補給すると、麻疹の合併症の危険と死亡率を下げられる、と考えられている。HusseyとKlein は、 189名の重症の麻疹に罹った小児にビタミンA40万単位を二重盲検で投与したところ、投与群で呼吸器と下痢の所見はより急速に改善し、入院期間は短くなったという。
呼吸器合併症の場合、抗生剤の投与量は多めとする。chloramphenicol, penicilline, macrolide系、黄色ブドウ球菌に相乗作用を示す薬剤(例えばoxacillineとkanamycine)がよい。中耳炎には抗生剤治療がまず必要で、その結果で穿刺術を行なう。呼吸不全を伴う喉頭炎ではステロイド投与を行い、場合によっては気管切開を施行する。気管支肺炎では大量の抗生剤と共に、酸素と強心剤を要す。気胸と膿気胸ではドレインを挿入する。縦隔気腫の治療は困難である。
下痢では電解質の補正(経口補液が最もよく行なわれる)と、病原体(赤痢菌、サルモネラ菌アメーバ)が判明した場合には感染症の治療をする。
眼合併症は避けるようにせねばならない。細菌性角膜炎の場合、atropineの点眼と抗生剤の点眼(Triambiotique*点眼薬)を数滴ずつ、1日4−6回投与する。ヘルペス性角膜炎ではaciclovir(Zovirax*) を用いる。
これらの治療はいずれも費用がかかり、また病院でしか行なえない。従って、予防が重要となる。
 


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