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蛭症(leech, sangsue, Hirudo medicinalis)
ヒルは吸血性の環形動物で、取り分け一部の熱帯地方に分布しており、皮膚や粘膜を侵襲する。
皮膚侵襲性の蛭症
水棲のヒルはヒトが沐浴したり、水面を横断したりする時に侵襲する。アジアの稲作地帯では大型の恐ろしい種が生息している。アジア、南米、マダガスカルの熱帯雨林には、土壌または樹木に生息する、極めて攻撃的な別種がいる。
ヒルの吸着部位に痛みは殆どないが、ヒルがheparineに類似した抗凝固物質を分泌するため、長時間出血する。ヒルは焼いたり、麻酔したりしても、死ななければ一掃出来ない。
治療は圧迫止血と消毒する位しかない。予防は、土壌生息性のヒルには忌避剤が有効であろう。
粘膜侵襲性の蛭症
地中海沿岸の河川では、ヒトや動物の粘膜を侵襲するヒルがいる。最もよく知られているのが Limnatis niliticaである。この種は水棲で、動物の上部気道・消化管粘膜に吸着する。ヒトは沐浴中に感染する。
これらのヒルは、咽頭部のひりひりした感じ、くしゃみ、鼻出血といった軽微な障害しか齎らさないことが多いが、数週間後に重篤な血液喪失を起こす。これらが喉頭、気管、気管支に到達すると、突然窒息症状を起こすことがある。診断は耳鼻咽喉科的に容易につく。
治療はcocaine などで麻酔した後、摘出する。鑑別疾患として、咽頭ジストマ症がある(舌虫症の項を見よ)。
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