非定型抗酸菌のうち、M. avium complex (MAC)の臨床が最も重要。なお、この群はM.
avium-intracellulare (MAI)とも称されることに注意。
その他の非定型抗酸菌の症候は、疫学の項目を参照。
1.MACの肺病変
病原菌の飛沫感染によって病巣が形成される。肺結核の症候との鑑別点は、下葉に結節病変や気管支拡張が多く認められることが挙げられる。小児では頚部リンパ節炎で気付かれることが多い。
2.エイズに合併したMAC感染症
米国では、MAC感染症はエイズ患者の10−30%に認められ、剖検では50%に達する。熱帯地方でも、結核と診断された二次感染が非定型抗酸菌である可能性が否定出来ない。血液CD4値が100/μLを下回ると、感染の危険性が急速に増大する。腸管にMACが多数感染している剖検例から、汚染水を介した経口感染が疑われる。
発熱、体重減少が続き、小腸に病変を作ると、Whipple症候群様の水様下痢や吸収不良が認められる。大腸の病変は、激しい腹痛を伴う(Crohn病の一部は、M.
paratuberculosisの関与が疑われている)。肝への侵襲があれば、肝腫脹が生じる。一般に、肝脾腫、腹部リンパ節腫脹、下痢がエイズに併発したら、MAC感染症を疑わねばならない。鑑別診断はHIV感染症の日和見感染を参照。
予後は基礎疾患の管理具合によるが、播種型では4−10ヵ月と考えておく。
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