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βサラセミアの症候と診断(βthalassemia, symptomatology and diagnosis)


ホモの重症サラセミアと、軽症サラセミア、ヘテロの軽症型は、それぞれ鑑別が出来る。
重症サラセミアまたはCooley病:この型は長期生存は望めず、生後1年目には貧血、成長障害、発熱発作などで発症する。患児は蒼白で、やや黄疸が見られる。蒙古様顔貌を示し、額や頬骨が突出した大きな顔、広く潰れた鼻、眼瞼には蒙古襞が見られる。理学所見には肝腫大、しばしば巨大で(梗塞に因る)疼痛を伴う脾腫、浮腫(原因は心収縮不全や低淡白血症と様々)が認められる。頭蓋のX線所見は特徴的だが特異性はない。前頭骨の板間層の拡大、ブラシ毛状の頭蓋、頬骨の肥厚、副鼻腔の変形、歯列の異常などである。また時に髄腔の拡大、長骨皮質の骨粗鬆化も認められる。肘や中手骨では骨粗鬆症が偽性嚢胞や線維症のような所見を示したりする。椎骨は時おり空中独楽様(魚の椎骨様)に変形する。このような骨格異常は骨髄での赤芽球系造血を増強させたり、骨折や神経圧迫といった合併症をも引き起こす。
Cooley病の予後は大変悪い。進行性貧血、急性赤血球崩壊(溶血や赤芽球減少)、進行性心収縮不全、合併感染、数年で致死的となる輸血後のヘモクロマトーシスである。ある種のホモのサラセミア(β+サラセミアに当たる)は重症の合併症がありながらも、成人まで生存出来る場合がある。その合併症とは身長体重発達の遅延、思春期の遅発、輸血後の血色素症(肝硬変、糖尿病、生殖器の発達不全)、着色性のビリルビン結石、足の潰瘍などである。
血液像では低色素性小球性、再生不良性(網状赤血球の増加)の高度貧血、赤血球の形態異常(大小不同、分裂赤血球、涙状赤血球、好塩基性赤血球、様々な数の赤芽球)が観察される。多核白血球主体の白血球増多(10,000-15,000 /μl)が普通見られる。血球の浸透圧に対するてい抵抗性は増加している。血清鉄は常に上昇している。骨髄像では赤芽球系の過形成が認められる。
ヘモグロビンの電気泳動や胎児型ヘモグロビンの定量(アルカリ変性に対する抵抗性をもったヘモグロビン(HbRDA)を、HbFとして測定する)を行うことによって、ホモのβサラセミアが確診される。胎児型ヘモグロビンは全ヘモグロビンの15-100%を占めるが、その残りはヘモグロビンA2(β0とβ+の場合)かヘモグロビン Aβ+の場合)かである。塗抹標本中の胎児型ヘモグロビンはKleihauer-Bethe法で染めると、赤血球中に不均等に分布していることが判る。これが胎児型ヘモグロビン遺残症候群との鑑別点である。

ヘテロのβサラセミア:臨床症状は極少ないか、殆ど見られない。軽症サラセミアはRietti-Greppi-Micheli病では、蒼白、軽度黄疸、脾腫、身長体重と生殖器の発達遅延、精神発育遅延、顔貌異常、ビリルビン結石、足の潰瘍などの症状があるが、予後は良好である。最軽度サラセミア(Silnerstroni-Bianco病またはサラセミア様)は全く無症状である。
血液学的所見はまず小血球症で、平均血球容積は80fl以下となり、低色素症も常に存在する。ヘモグロビン量は正常かやや低下で10-14g/dlを示し、ヘマトクリットも同様である。赤血球数は大体正常か軽度低下、又はしばしば600万/μlまで増加することもある。小球性で偽性赤血球増加(全血球容積は正常)があることは、ヘテロのβサラセミアを強く示唆する。塗抹標本では小球性の他に、大小不同、低色素性、少量の変形赤血球が見られ、好塩基性を示す赤血球が特徴である。赤血球の抵抗性は正常か増加している。血清鉄は増加している。
ヘモグロビンの電気泳動ではヘモグロビンA2(β+とβ0の場合)の中等度上昇、または稀にヘモグロビンF(β-δ)の上昇がある。これはin vitroでグロビン鎖の合成を検査することでのみ、その欠損を見つけることが出来る限られた例である(潜在性βサラセミア)。

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