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βサラセミア(βthalassemia, epidemiology, ICD 284.4.)


βサラセミアは昔からここ数年までの間、最も頻度が高く、よく知られた疾患である。サラセミアという名称はギリシャ語で、thalassaは海、haimaは血を表し、本疾患が地中海沿岸に多いことを示している。
βサラセミアはグロビンのβ鎖の合成欠損により、正常成人ヘモグロビン(HbA=α2β2)の産生異常を来す疾患をいう。β鎖の代わりにδ鎖やγ鎖の合成や、HbA2( α2δ2)やHbF(α2γ2)の値の上昇が見られる。しかしながらこのヘモグロビンA2やFの産生増加も、HbAの産生欠損を補完するには不十分で、赤血球は小球性低色素性を示す。重症サラセミアによる貧血はヘモグロビン合成異常によるばかりでなく、骨髄内での赤芽球の形成不全や抹消での溶血のためでもある。過剰なα鎖が赤血球膜と接触すると、沈降して、赤血球を脆弱にする。
この疾患の遺伝形式は常染色体相互優性である。ヘテロでは血液検査上の以上が認められるのみである。ホモではこの欠損により臨床症状を示すが、患者によってその重症度は異なる。βサラセミアの各々はβ鎖遺伝子の転写に影響し、(最低20程度の)様々の変異に対応している。
βサラセミアは3つに分類される。サラセミアβ0(重症型)はβ鎖の完全欠損である。サラセミアβ+(中等度型、最も頻度が高い)ではβ鎖の産生が低下しているのみである。3つめのβ-δサラセミアはδ鎖の産生欠損も伴っているものである。ヘテロでは成人型ヘモグロビンの中等度欠損は、β0やβ+(またはβサラセミアA2)のある程度の上昇によって、或いはβ-δ(またはサラセミアF)ではヘモグロビンFの上昇によって補完される。この3型のホモでは、成人型ヘモグロビン産生の重度欠損はヘモグロビンFの大量産生によって補完される。サラセミアβ+ではヘモグロビンAの、サラセミアβ+とβ0ではヘモグロビンA2の値が様々な形で持続する。
βサラセミアは全ての地域、殆どの人種に見られる。特に地中海沿岸(イタリア、ギリシャ、マグレブ、エジプト、中東、キプロス、マルタ島)で重症型(β0)の頻度が高く、猛威を振るっている。しかし極東(中国、インド、フィリピン、タイ)、黒アフリカ(中等度のβ+型が多い)、米国(地中海のその先祖をもつ黒人種)でも、この疾患は見られる。

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