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αサラセミアの症候(αthalassemia, symptomatology)


重症型は生存が難しく、子宮内死亡か生直後の胎児水腫によって死亡する。ヘモグロビンの電気泳動ではBart型ヘモグロビンが殆どで、僅かにヘモグロビンH が認めれる。この型はホモのαサラセミアか、αの4つの遺伝子の変異によって起こり、アジア南東部にのみ見られる。
ヘモグロビンH症はCooley病にその臨床症状が類似するが、予後はより良好である。検査上、小球性、低色素性、再生不良性の中等度貧血を認め、赤血球内にヘモグロビンHの封入体が存在する。ヘモグロビンの電気泳動は、成人ではヘモグロビンHが4-30%、微量のヘモグロビンBartが認められ、生下時ではヘモグロビンBartが25%位存在する。ヘモグロビンH症を起こす遺伝子型は、αサラセミア1とαサラセミア2の重複ヘテロか、α遺伝子が3-4個変異しているものである。治療は輸血、葉酸投与、時には脾摘がある。
軽症型αサラセミアは臨床的には潜在するものだが、軽度の小球性貧血も示す。生下時に5-6%のヘモグロビンBartを認めることが診断の根拠となるが、それ以降となると実際に診断が不可能となる。この型はαサラセミア1のヘテロかα遺伝子の2つの変異に因る。
潜在型αサラセミアは臨床的にも血液検査上も何ら異常を示さない。生下時に1-2%のヘモグロビンBartを認めることのみが唯一の所見で、αサラセミア2のヘテロかα遺伝子1個の変異に因る。

Leporeヘモグロビン症 (hemoglobinoses Lepore)
この稀な疾患は遺伝子学的に大変興味深い。症候学的には、電気泳動上異常なヘモグロビンを伴ったβサラセミアである。Leporeヘモグロビンはα鎖2本と、β鎖の一部とδ鎖の一部のハイブリッド鎖2本によって構成されている。β鎖遺伝子とδ鎖遺伝子の交叉に因ると考えられる。

遺伝性胎児ヘモグロビン遺残症(syndromes de persistance hereditaire de l'hemoglobine foetale, SPHHF)
世界中どこにでも見られるが、特に黒アフリカに多い。この症候群はβ鎖(時にはδ鎖も)の産生欠損にある点がβサラセミアに類似するが、生下時にγ遺伝子への抑制 がないことが明らかに異なっている。このγ鎖の存在が充分な量の胎児型ヘモグロビン合成を促し、ヘモグロビンA(時にA2)の欠損を補完する。ホモの場合でも塗抹標本で異常赤血球を認める以外、何ら臨床的、血液学的異常を示さない。ホモには胎児型ヘモグロビンしかない。ヘテロでは胎児型ヘモグロビンの量は様々で、<黒人>と<ギリシャ>型では10-30%、<スイス>型では1-3%である。SPHHFの殆どの例は<全血球性>型で、本型では赤血球中の胎児型ヘモグロビンの分布は均一で、βサラセミアのKleihauer-Bethe染色の場合と鑑別が付け易い。しかし<異形細胞>型という一部のSPHHFでは、その分布が不均一である。

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