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ホモ型の診断・治療・予防(hempgbobinopathy SS, diagnosis/treatment/prevention)


診断 血液学的検査所見:貧血は常に見られるが、程度は様々である。基本的には正色素性、正球性または大球性で、再生不良性でなく、ヘモグロビン値は6-8g/dlあたりを示す。塗抹標本では、赤血球の大小不同、異型赤血球、赤芽球が見られ、時には典型的な鎌状赤血球を認める。網状赤血球は増加しており、骨髄中の赤芽球増加、間接型ビリルビンの増加、血清鉄の上昇から、溶血があることを示唆される。急性の脾臓取り込みクリーゼがある場合は、貧血は高度で、ヘモグロビン値は2-3g/dl位である。赤芽球減少性のクリーゼの際は再生不良性(網状赤血球の低下)である。感染の合併が一切無くても、白血球増多(12,000-16,000/μl)がある。血小板は僅かに増加していることが多い。

鎌状赤血球の証明:鎌状赤血球とは柊葉状、或いは長い鎌状に変形した赤血球で、時に長い突起を出している。正常人の血液塗沫では観察されない。
in vitroでの鎌状化試験は、赤血球から酸素を除去する検査である。血液を1滴ガラス切片の上に落とし、そこにカバーグラスを載せてパラフィンかワセリンで封入し、室温または培養器中に保管する。24-48時間後に検鏡する。還元剤である二硫化炭酸ナトリウムを用いる方法は、より迅速である。観察は15-30分後に行う。
鎌状化試験は鎌状赤血球症のホモ(SS)とヘテロ(AS, SC, SD)とを鑑別することは出来ない。より稀な他のヘモグロビン症(HbC Harlem, Hb Georgetown, HbI)でも陽性に出ることがある。

ヘモグロビンの電気泳動:これは色々なpHで、紙、セルロースアセテート膜、アガロースやアミドゲル上で行う。一般的な検索用の電気泳動は、セルロースアセテート膜を用い、Tris-EDTA-ホウ酸(pH 8.2-8.6)の緩衝液中で施行する。
ホモの鎌状赤血球症ではHbSが90-97%、HbFが3-10%認められ、HbAは検出されない。新生児ではHbFの割合が成人の場合よりも多めとなる。ヘモグロビンDと(その他例外的に)Leporeは、pH8.6でHbSのように泳動する。

他の検査:還元性の緩衝液中でのヘモグロビンSの沈降と、尿素を添加してそれが可逆化される反応は、単純なスクリーニングテストで自動化出来る。これをジチオネート尿素試験という。村山試験は脱酸素化したHbSのゲル化が37℃で起こり、0℃でそれが消失することを利用したものである。稀にHbC Harlemでもこの性質が認められる。

治療
根治的な治療法は未だ確立されていない。繰り返し輸血するとヘモグロビンSの合成を抑制 し、血管閉塞性クリーゼや感染合併を(脾機能低下を防ぐことによって)減少させる。しかし鉄沈着症や感染性肝炎、HIV感染の危険がある。従って、輸血は急性症状がある時や、生命を脅かす緊急性があるときにしか施行されない。ただ単に輸血をすることは、血液の粘度を上昇させ、血管閉塞を起こし易くする危険があるので、避けなければならない。緊急の場合(血管閉塞、重症敗血症、大手術)は、出来れば血液の表現型を検査し、白血球を除去した濃厚赤血球を用意し、輸血をしながら瀉血する交換輸血をして、HbSの量を減らさねばならない。
クリーゼの予防に沢山の薬剤が考案されたが、phenothiazines, acetazoramide(Diamox)、重曹、尿素などを経口投与するのは現在中止されている。papaverine、ライ麦の麦角である水酸化アルカロイド(Hydergien, 1-3 滴/kg/日)、ツルニチニチソウの抽出物(Pervicanine)などの血管拡張剤は一時奨励された。その他、赤血球の変形に対して作用のあるpentoxifylline(Torental), cetiedil(Staratene), mecrofenoxate(Lucidril)などが試された。シアン化ナトリウムは有効だが毒性がある。
予防は大変重要である。呼吸器感染の際、充分な酸素と抗生剤を与えること、気圧が調整されていない飛行機での移動は禁ずること、手術の際には酸素投与を厳重にチェックすること、日常的に葉酸(Foldine)と亜鉛を摂取すること、抗マラリア剤の予防内服を継続的に行うこと、通常の予防接種の他に、肺炎球菌やインフルエンザ菌のワクチンも接種し、10才までは経口penicilline Vによる治療を日常的に行なうことによって、様々な感染を予防することが重要である。
 急性の貧血には輸血と抗菌スペクトルの広い抗生剤を必要とする。感染はクリーゼの誘因となったり、それを難治にするからである。葉酸は大球性再生不良性のある種の貧血に対して用いられる。
血管閉塞性のクリーゼは治療が難しい。最も良性の場合は鎮静鎮痛剤が、時には非ステロイド性消炎剤で骨や関節の疼痛を和らげるのみでよい。もっと重症なクリーゼには経静脈的に補液し、アシドーシスの補正を行い、抗生剤と共に強力な鎮痛剤と酸素を投与する。抗凝固剤(heparine)、血管拡張剤(Pervincamine, Hydergine)、鎌状化阻害剤(Torental, Stratine, Lucidrul)などの効果は未だ明確でない。尿素の大量点滴、シアン化物の投与は理論上は有効であるが、危険である。輸血または交換輸血は、重篤な合併症(持続勃起症、呼吸器感染症)を伴う抵抗性のクリーゼを鎮静する作用がある。臓器(脾臓)の梗塞は一部で手術を必要とする。感染症の合併には適宜、抗生剤投与を要し、骨髄炎には外科的処置が必要なこともある。

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