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糖尿病の症候(symptomatology of diabetes mellitus)
症候
通常では臨床症候は、糖尿病性ケトアシドーシスによる昏睡、極度の多飲多尿、重大なるい痩、重篤な合併感染症(結核、壊疽、足底の悪性穿孔など)で見つかる。このような症候の糖尿病では、既にinsulineが必要な状況になっている。
空腹時の高血糖を日常診療で見つけることは、都市部以外では例外的な状況にある。
熱帯地方では糖尿病の臨床型は大きく3つに分けられる。
若年者のインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、世界的に共通して稀であり、単純性のインスリン欠乏性症候群(急速な体重減少、衰弱、腹痛、多飲多尿)が起こった時、或いは糖尿病性ケトアシドーシスの際に判る。アルカリがどの程度まで低下しているかが、その時点での重症度を示す。
高齢者の非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)は、経過が長いことでは前型とは反対である。慢性の合併症には特異的なもの(細小血管病変)と非特異的なもの(粥状硬化)があり、数年から数十年の経過の後に発症する。
さらに《熱帯型》という特別な型の糖尿病が、栄養不良に関係して認められる。これは前述の2型の中間型に分類される。他にも幾つかの分類法があるが、改変されることが多く、典型的な臨床型となるものは少ない。本型では患者年令は30-40才、肥満やアルコール歴はなく、小児期の蛋白・カロリー欠乏以外に特別な既往がない。患者はキャッサバを栽培する地方に居住する者である。多飲多尿性の症候群の他に、はっきりした症候は見当らない。尿糖が陽性であることは重要だが、ケトンは陰性となる。血糖は明らかに上昇しており、適量のinsulineによって正常化することで確認される。典型例では腹部単純X線で、膵の石灰化が認められる。
勿論これら3型の中間型も存在するが、治療法の適応を決定する上で、この分類法が実用的で利点がある。治療法には緊急のインスリン療法(insulineの絶対的欠乏は生命の予後に関わる)の事例、至急のインスリン療法は不要だが、(慢性合併症を予防するため)食餌療法と最終的には経口血糖降下剤が必要な事例、緊急投与でないインスリン療法(インスリン依存性糖尿病)の事例が考えられる。
《熱帯型》糖尿病は上記の治療法の分け方で後者2つに当てはまるが、その選択は最も難しい。教育や管理の有無、insulineの定時的な使用が可能かで決められる。
合併症(complication)
糖尿病の合併症には、今世紀初頭から複数の著作が示され、実際に細小血管病変よりも昏睡と感染症がよく記述されている。昏睡の大半はケトン性アシドーシスが最も多く、突発性で、現地の器材では治療が困難なことから死亡率が高い。高浸透圧性の昏睡もあり、これは温帯でより多く見られるようである。この診断は難しく、治療は重篤度に応じて異なる。高血糖性昏睡はインスリン療法に問題があり、厳密な教育がなされていない場合に認められるが、植物性の痩せ薬の濫用から低血糖になることもある。感染症は細菌性(フルンケル、ひょう疽、軟口蓋の蜂巣炎、湿性壊疽(嫌気性菌に因るものが多い))で、結核は糖尿病入院患者の10-20%に見られ、真菌症(カンジダ症)もある。逆に冠動脈炎や下肢の動脈炎といった大血管の疾患は、他の危険因子(食餌過多、過度の脂肪摂取、飽和脂肪酸、喫煙、座り仕事)がなければ頻度は少ない。細小血管病変、特に糖尿病性網膜炎は他の地域の頻度は同じだが、長期的に見ればやはり稀である。
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