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マラスムの症候(marasme, symptomatology)
初期症状:発症は発育停止と皮下死亡の消失である。子供は飢えて指をくわえ、不機嫌で泣き続け、少ししか寝ない。便秘或いは小量の下痢便であることが多く、濃緑色の便を排出するが、これは《飢餓便》といわれる。急速に症状が出揃って、乳児は飢えを訴えるにも拘らず、少ししか摂食出来ず、時にそれも嘔吐する。胃腸炎や併発感染症があって、医療機関を受診する。
症状の確立:診察すれば診断は難しくない。発育の遅れは取り分け体重に現われる。体重は年齢平均の60%位まで減少するが、慎重は平均の下限位である。筋肉や皮下脂肪の消失が顕著である(図4−2)。痩せ細って四肢は骨が突出してごつごつとし、頬部でさえも皮下脂肪が失われている。《Bichatの頭》は末期まで続く。筋肉は退縮するが、特に顔面では筋が収縮すれば皮下に認められる状態が続く。皮膚は薄く弛んで、皺が深く、顔が体より大きく見え、古びた皺くちゃの布切れの様な印象を与える。粘膜は赤く、皮膚が冷たく青白いのと対照的である。髪は正常であるが、特に細くて乾燥している。脱色することはない。体力がすっかり落ち、この様に痩せ細った状態で生き、苦悩に満ちた大きな目で周囲の人間を見回す。この子は飢えているのに、沢山の量を受け付けられず、簡単に吐いてしまう。
血液生化学検査では血中蛋白量は低下している。アルブミンは低下するが、その半減期は大変長くなる。中等度の貧血はよくあるが、この疾患特異性はない。血清中のアミノ酸バランスは保たれている。合併症が無い限り、血中の電解質異常はない。
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