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マラスムの疫学(marasme, epidemiology)


マラスム、MARASME, CIM 268  マラスム(栄養消耗症)は熱帯地方で最も頻度の高い蛋白カロリー欠乏症候群である。この名称は栄養失調症、無栄養症、悪液質などと呼ばれたものを代表している。 疫学  マラスムは蛋白と熱量の不十分な食餌が原因で、そのバランスは崩れていないが、絶対量が大変乏しい。カロリーの欠乏が最も重要な要素であり、子供は必要な熱量の為に自身の組織を消費せざるを得ない。将に《自己侵食》とも云えるものである。  マラスムは生後1年間に最も多く発生する。この年齢での急速な発育は、実際多くのカロリーを必要とする。数週間の栄養制限でも重症の栄養不良を引き起こす。マラスムは殆どの場合、母乳栄養を止めるのが早過ぎたり、乳汁以外の人工栄養に切り替えたり、薄め過ぎた牛乳を与えることによる。熱帯では離乳は一般に遅い(生後2年目)が、母親の死亡や次の妊娠が非常に近い場合、きちんとした人工栄養が可能になる以前に断乳してしまう。大都市では母乳を早期に止めてしまう傾向がどんどん強まっており、人工乳の利点ばかりを強調して、価格やその問題点を伝えぬまやかしの広告のせいで、人工乳に切り替えることが多い。児が母乳を与えられている限りは、マラスムは例外的にしか起こらず、母自身が非常に栄養不良の時に限られる。未熟児はカロリーの必要性が特に高いが、滋養するのが困難ということで、マラスムに陥る可能性が強い。口腔の疾患(口内炎、歯肉炎)はしばしば栄養を与えるのが不可能となって、栄養不良の原因となる。熱帯で多い下痢も最重要な原因で、腸管からの栄養喪失、食欲不振の長期化、時には伝統的治療(緩下剤、絶食)のせいで、急速にマラスムに陥る。他の感染症や寄生虫症はこの年齢ではあまり重要でない。  乳児期以降の晩発性のマラスムは稀である。実際、体がより大きい子供は乳児よりカロリーの必要量が減って、むしろ蛋白欠乏によるクワシオルコールを発症する。しかし幼児でも例外的に、母乳を長く続け過ぎた場合、消耗性疾患(結核)、飢饉、天災や戦争(コンゴ、ビアフラ、ペルー、バングラディシュ)の際に見られる。子供がまず最初に全般的な欠乏の犠牲となるのである。

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