Sorry ,This page is written in JAPANESE. English version is not available
クワシオルコルの経過(kwashiorkor, prognosis)
転帰:治療をしなければ、重症例は死への転帰をとる。脱水を伴う下痢、合併感染症、この病態によく見られる肝不全によると云われる昏睡、というように進行する。或いは浮腫は消失するが、悪液質を伴って所謂《クワシオルコール・マラスム》の状態に陥って死亡する。もし治療がなされれば、クワシオルコールはきちんと治癒に向かう。下痢は消失し、数日中に浮腫が消える。食欲が戻り、体重曲線は復帰し始める。次第に敵対的な無気力状態から脱して、笑いや周囲に関心を向けるようになる。皮膚や毛髪の変化が元通りになるにはもっと長い時間がかかる。肝の脂肪蓄積の消失も確かめられよう。しかしながら、いつでも突発的事故が起こり得る。初めの数日間は低血糖から痙攣、或いは突然死まで引き起こし得る。第一週目の終わりの浮腫が消失する頃には、電解質異常を伴った、激しい循環血漿量の低下による、致死的なショックを警戒しなければならない。第二週目からは所謂《回復期症候群》が、特にラテンアメリカで見られる。側副静脈を伴った肝腫大、時には腹水、脾腫大、多毛症が認められるが、3ヶ月目頃には消失する。回復期全体を通じて、睡眠中の震えや筋緊張亢進を伴う錐体外路症状を来し得る。これは脳脊髄液や脳波に異常はなく、頻度も少ないが、一般に2−3週間で後遺症を残さずに治癒する。感染症の合併は非常に頻度が高い。重症のクワシオルコールには、微熱か全く熱発しない呼吸器感染が殆ど必発する。結核も稀でない。 tuberculine反応が陰転したままのことがよくあるので、X線像で充分注意しなければならない。マラリアの熱発作は、小児の栄養不良症の際、一般に発熱が少ない。
予後は合併症のために大変悪い。クワシオルコールで入院した小児の1/3は最初の数週のうちに死亡する。重症度の指標になる主な徴候は皮膚病変である。長期的な予後は疾患の長さと重さ、児の年令、母親の食餌療法の教育程度などによる。特に3才以下の故には、最初と同じような症状、同じ重さの再燃が起こり得る。体重の回復は早いが、慎重の伸びの遅れは思春期まで続く。頭囲は正常よりやや小さい状態に留まる。患児が未熟児であった場合、知覚的生理的な適応機能の低下が持続すると考えられる。
熱帯医学データベースに戻る
AMDAホームページに戻る
このページは、アムダ企画のご協力により作成されました。