Sorry ,This page is written in JAPANESE. English version is not available

症候(symptomatologie)

蛇毒は図式的には様々な効果をもたらすが、神経毒、出血、循環障害が主である。
毒蛇咬症の半分は全く毒が注入されていないことと、病院を受診した患者の25%が全身症状を起こすのみということは、知っておかねばならない。
ヘビ咬傷の後には多くの場合恐怖感があり、時おり冷汗、興奮、悪心や嘔吐、頻脈、血圧低下、といった不安による症状が急速に出現することがある。これらの症状は通常消退するが、鎮静剤の適応はあり、毒による症状がなければ、まず偽薬を使ってみる。
蛇毒による初期症状は熟知していることが重要である。 局所の疼痛ははっきりした判定価値はないが、急速に出現した局所の浮腫は、クサリヘビ、アジアのコブラ、Naja nigricolisに咬まれた場合重要で、その他のコブラやウミヘビの咬傷では見られない症状である。毒牙且つ又は歯列の跡は、殆どの症例で確認するのは困難で、判断材料には殆どならない。安静にしている患者で血液凝固が起こらない(出血が止まらない)場合は、クサリヘビの全身性毒作用であり、コブラ毒ではその後両側性の眼瞼下垂が生じ、ウミヘビ毒では筋肉痛が現われる。全身性の毒症状が急速に出現すれば、予後不良の1因子となる。

コブラ咬症:コブラ毒は神経毒型で、その作用はクラーレ様のそれに比較される。咬傷直後には局所の痛みは感じないが、すぐにしびれ感を覚える。咬傷面には約1cm間をあけて小型の牙の咬み跡があり、皮膚は青味がかって浮腫を呈す。重症例では進行性麻痺が発汗、悪心、嘔吐と共に認められる。麻痺が全身性となったり、四肢、脳神経、呼吸筋に見られれば、生命の危険に関わることが多い。
ヘビが毒を吐いて眼に入ると、局所の強い灼熱感と時には一時的な失明を起こすことがある。これらの毒ヘビによる咬傷は非常に毒性が強い。

マムシ咬症:マムシ科の毒は第一に出血性ということである。幾種かのヘビは神経毒も分泌する。咬傷を受けると直ちに激痛が生じ、2個の毒牙痕と黒味がかった堅い浮腫が急速に出現する(図1)。出血斑が患肢全体に広がり、患部に表層性または深層性の壊死が起こることがある。同時に出血性症候群として、点状出血、出血斑、歯肉出血、鼻出血、血痰、消化管出血が認められる。血液生化学上は凝固能の低下と二次性の播種性血管内凝固の所見を得る。予後は出血性症候群をうまく管理出来れば好転する。

クサリヘビ咬症:クサリヘビ科の毒は前述の2咬症の中間的な作用を起こす。有痛性の咬傷で、牙の刺入痕が1-2箇所あり、血性の漿液が溢れ出ている。患部の周囲は非常に痛みが強く、出血斑を伴った浮腫が生じて、急速に患肢に広がる(図2)。全身症状として、虚脱傾向、不整脈、消化管障害(悪心、嘔吐、下痢、腹痛)、神経障害(不安、興奮、昏睡)、38℃ほどの熱発を認める。びまん性出血があると、特にクサリヘビの咬症の場合、死亡することが多いという。予後は咬んだ種と蛇毒の注入量による。局所的には壊死による重大な組織欠損が生じることが多い。

熱帯医学データベースに戻る

AMDAホームページに戻る


      このページは、アムダ企画のご協力により作成されました。

            お問い合わせはmember@amda.or.jpまでお願いいたします。