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毒蛇の分類(classification)
ここでは毒牙(poisonous fang)の構造に生物学的な分類を当てはめる。
無毒牙のヘビ:無毒牙または無毒のヘビは毒牙をもたないが、いずれのヘビも口腔につながる毒腺を有す。従ってその咬傷は全く無害でなく、何件かの咬症が報告されている。
後溝型:毒牙は上顎後方の歯が変化したもので不可動性であり、口の後方に1-数個ある。獲物を深く咬まない限り、毒液注入は不能である。
熱帯アフリカのThelotornis kirtlandiとDispholidus typus(Boomslang)は無毒だが、樹木に生息する種は後方にある牙が可動性のため、致死的咬傷を引き起こすことがある。フランス Montpellier地方の種は地中海に生存する一種で、個体数が少ないため保護されている。アフリカツルヘビもこの型に入る。
前溝型:不可動性の毒牙が口の前方にあり、それに長い毒溝が1本あるため、より危険である。
この群には水棲のウミヘビ科(Hydrophiides、図1・マダラウミヘビHydrophis cyanocinctus)と陸棲のコブラ科(Elapides)のヘビが入る。後者にはマンバ、コブラ、クレツ、アジアのBungarus、アメリカのサンゴヘビ(図2)が含まれる。アフリカのミドリマンバ(図3)は樹木に棲み、非常に攻撃的である。
コブラのうち最も知られているのがNaja haje(別名ファラオコブラ、図4)である。これはアフリカ全域に分布し、頭部が頭巾で覆われたように広がり、警戒心が最も弱いため、容易に識別される。アジアではNaja naja(タイワンコブラ、図5)、Naja tripudians(別名メガネコブラ)や体長6mに達するOphiophagus hannah(別名キングコブラ)が見られる。熱帯アフリカにはSepedon属(Naja nigricollis)が見られ、コブラとほぼ同列とされる。これは戦闘体勢に入ると頚部を平たく横に広げ、同時に音を立てながら息を吐いて、二列に毒を噴出する。短い間隔で何回か毒を吐くことがある。この他アフリカ南部にいるHaemachatus haemachatus(ドクハキコブラ、図6・死んだふりをしているところ)も自ら毒を噴射する。オーストラリアには極めて多くのコブラ種がおり、その一部(Acanthophis) は攻撃的で非常に危険である。
管牙型:これらには完璧な刺入器官があり、最も恐ろしいヘビに入る。前方に2つの長い可動性の毒牙があり、この内部に導管があって、毒を漏らすこと無く注入出来る。この毒牙の後方の筋内には、数本の副牙がある。この牙は普段は後方に折り畳まれているが、攻撃時には前傾させ、口を閉じたまま牙を突き出す格好をして、獲物を咬むことが出来る。この群にはクサリヘビ科(Viperidae) とマムシ科(Crotalides)の2つが含まれる。
クサリヘビ科とマムシ科のヘビの特長は、頭部が平たい三角形で、頚部より膨らみ、鼻口部が欠けた形を呈し(図7)、ずんぐりした胴体と短円錐形の尾をもつ。
アフリカではVipera属、Bitis属、Cerastes属、 Echis属が見られる。Vipera lebetina(別名東方クサリヘビ)は北米の礫土に覆われた薮や葡萄畑に生息する。同地域にはcopper headと称されるアメリカマムシ(図8)Vipera ammodytes(別名スナクサリヘビ)は北アフリカの砂漠地帯におり、Cerastes cerastes(別名ツノクサリヘビ)もエジプトとアラビアに見られる。後者は角状に立った鱗が眼の上あり、砂上に特徴的な跡を残すので認識される。最も強力な毒をもつクサリヘビは、鋸歯状の鱗をもつEchis carinatus である。このヘビは体長60cmと小型で、北アフリカとサヘル地方の砂漠に生息するが、敏捷に咬みつき、鱗を互いに擦り合わせて口笛のような音を立てるのが特長である。
アジアでは強い毒をもち恐れられている夜行性のクサリヘビ(Vipera russelli、図9) やgreen pit viper(図10)がいる。台湾に生息するヒャッポダ(Agkistrodon acutus、図11)は、咬まれると百歩踏み出す前に倒れることから、そう命名された。
Bitis属はアフリカにだけ生息する。アフリカ中央部の森林に生息するBitis gabonica(別名ガボンクサリヘビ、図12)は、体長1.8mで褐色または灰色で、黄色い斑点がありとても美しい。Bitis arietans(別名フクレツノヘビまたはpuff adder、図13)はアフリカに生息する全種のうち、最も一般的で広く分布する。褐色調の体表に三日月型の斑点があり、体長は1mほどだが、1.5mに達するものもある。音を立てて息を吐くので、その存在に気づいて早めに逃げられる。この蛇毒は極めて強力である。Bitis nasicornis(別名サイクサリヘビ)は森林種で、紅、藍、緑のけばけばしい体色を呈す。その名が示すように、大きな鱗が逆立って、鼻口部の先端が直立している。 Bitis属のヘビは動きが遅く、上を跨がない限りは大抵咬む習性がないので、咬傷は比較的少ない。
マムシ科のヘビは多くがアメリカに生息し、ハブ(Trimeresurus flavoviridis、図14)やトカラハブ(T. tokarensis、図15)など幾種かが極東に見られるが、アフリカにはいない。鼻口の横に小窩が1つずつあるのが特長で、これは温血動物を探すのに用いられる第6の感覚受容器である。ガラガラヘビ(Crotalus basiliscus) は代表的な一種で、堅い体表輪が独特の音を発する(図16・C.durissus)。
Bothrops(アメリカハブ属)も毒蛇で、最も早く致死させる毒をもつ。代表的な種にBothrops itapetiningae(図17), B. moojeni(図18), B.alternata(図19), B.bilineata(図20)などがある。
ヘビ科の毒蛇はアジアに生息するヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus、図21)やタイヤマカガシ(R.subminiatus、図22)が代表的である。
ヘビの同定はいつも容易とは限らない。幾種かのヘビが地元では同じ名前で呼ばれていることもある。ELISA法を用いれば、ヘビの種によって特異的な循環性の蛇毒抗体を検出できるが、この方法も実用性に欠ける。主要な毒ヘビは地域によって異なる。北アフリカではVipera lebetinaとCerastes cerastesといったクサリヘビが主で、熱帯アフリカではEchis carinatusがサハラ地方とスーダンに、Bitis arietansがサバンナ地帯に、Bitis gabonicaがコブラ(NajaとHaemachatus)と共に森林地帯にそれぞれ見られる。マダガスカルにはProteroglyphesもクサリヘビもおらず、有害なヘビはいないことになる。極東ではNaja tripudiansと様々なマムシ科のヘビが見られる。南米とアンチル諸島では基本的にマムシ科のヘビが生息している。
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