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皮下の蝿蛆症(myases suscutanees)
皮下の蝿蛆症
皮下の蝿蛆症は、生活環の中で必ず寄生しなければならない幼虫によって起こり、常に既知とは限らない。臨床的にはせつ性蝿蛆症、匍行性蝿蛆症、牛膚腫の一部に分けられる。
せつ性蝿蛆症
疼痛性、可動性の紅潮した腫大を示す偽性のせつで、数日経つとか皮が落屑する。アフリカのCayor虫は、Cordylobia anthropophagaの幼虫で、家屋の地面、湿った手拭いや毛織物に生息し、ヒトや家畜(イヌ)の皮膚へ活発に侵入しようとする。約1週間ほどで成虫になり、せつの芯となって外界に再び出てくる。マカク虫(同義語:Berne, Torcel )はDermatobia hominis(同義語:D.cyaniventrix)の幼虫で、南米で見られ、皮下で成虫になるまで約6週間を要する。
Gasterophilusのよる皮下の蝿蛆症:Gasterophilusの幼虫は、通常ウマ、ロバ、ラバの消化管の大部分に寄生するが、その生活環は不明である。ヒトへは皮膚から穿入し、皮下をゆっくり動いて、匍行性蝿蛆症を起こす。斑状出血、痒疹、時には疼痛が認められ、1日数cmの割合で不規則に進んで行く。数日から数週間で幼虫は外部に出る。
牛膚腫(hypodermiasis):牛膚腫は欧州やアフリカに見られ、ウシ科とヒツジ科の動物の体毛に産卵する大型のウシバエ、Hypoderma bovis, H.lineatumによって起こる。虫卵を舐めた動物は、これを胃内に飲み込み、孵化した幼虫は幾度かの脱皮をしながら、複雑な体内移行をして皮下組織に到達し、皮膚を突き破るため、その革は使いものにならなくなる。
ヒトでは大半が小児例で、寄生している動物に接触して感染する。幼虫の体内を迷入し、途中で死ぬことが多い。牛膚腫は発熱、衰弱、るい痩といった全身症状と、痒疹、膨疹、筋肉痛、関節痛といったアレルギー症状で発病する。この段階では診断は難しいが、問診と血中の好酸球増多から疑診する。そして第3期幼虫を抗原とした、免疫電気泳動を利用した特異的血清反応が行なわれる。数週間後に皮下組織に到達した幼虫を証明すれば診断となる。
この幼虫により匍行性蝿蛆症、或いは遊走性腫瘤を生じる。一般にこの幼虫の大きさは2-3cmで、体外へ出た時点で終息する。時折これが中枢神経系や眼球に迷入し、重大な障害をもたらす。
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