有毛細胞白血病の疫学


 有毛細胞白血病(hairy cell leukemia, HCL)は,細胞質の突起を細胞外部に伸ばしている白血化細胞が毛髪のように見える(hairy cell, HC)ため、このような名称になった。HCは位相差顕微鏡や走査電子顕微鏡によって最もよく観察され、診断上の病理学的所見として重要。
 かつて本症は、その形態から網内系が起源と考えられ、白血性細網内皮症(leukemic reticuloendotheliosis)と呼ばれたが、その後リンパ系起源の細胞に由来することが確認され、慢性リンパ性白血病(CLL)の一種に分類されている。大部分が表面免疫グロブリンを有するB細胞由来のもので、稀にT細胞性と考えられる症例が存在する。

 病因は不明で、家族性、放射線性を示唆する報告がある一方、T細胞性HCL症例中にHTLV-IIのゲノムを認めた報告がある。けれども、疫学的にレトロウイルス感染症としての証明は未だ確立していない。
発病年齢は50台以降で、男性が女性の3-4倍多い。人種的な発病頻度の違いは世界的に調べられていないが、欧米では全白血病の2-6%を占めるとされるのに対し、日本では今まで100例ほどしか報告がない。


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