ラッサ熱の症候と診断


 病期は1-4週間。倦怠感、発熱、頭痛、咳、咽頭痛、嘔吐、腹痛と下痢、筋肉痛などから緩徐に発病する。熱型は稽留熱と間欠熱がある。結膜と咽頭部の炎症と浸出物があることに注意(感染性がある)。重篤例では顔面頚部の腫脹が著しく、胸水貯留、出血症状、痙攣、血圧低下、脳炎などを併発して死亡する。入院症例の死亡率は15%といわれ、妊婦では殆どが流産する。聴神経障害が25%の患者に認められ、そのうちの半数が聾となる。回復期に一過性の小脳失調や脱毛を見ることがある。
 熱帯の現場での診断は、ELISAによる特異的IgMの検出と、バイサイトペニア(白血球値は病初期にリンパ球減少、後に好中球減少に転化、血小板減少は中程度で機能は正常)、ヘマトクリット上昇、アルブミン尿などの臨床検査所見である。しかし、ラッサウイルスがバイオセーフティー4に指定されている伝染性の強毒ウイルスなので、疑わしい症例を診た時点で、特殊病原体専門家の救援を受けなければならない。
基本的に、特殊な装備と訓練を受けていない現地スタッフは、ラッサ熱の流行が確認された時点で、活動を中止して、本部事務局の指示を仰ぐこと。


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