ラッサ熱の疫学


 病原体はラッサウイルス。非常に感染力の強い(バイオセーフティーレベル4)重篤な疾患で、1969年に初めて同定された。西アフリカの野生のげっ歯類Mastomys matalensis(多数の乳房をもつネズミ)がこれを保有し、ヒトには感染動物の排泄物の吸入または直接接触(食物や食器を介する場合もある)で感染する。洪水時には床やベッドがウイルスに汚染されて、間接的に感染することもある。感染者の体液や飛沫によってヒト-ヒトで伝染が起こる。
 ラッサ熱はシエラレオネ、リベリア、ギニア、ナイジェリアでの発生が記録されているが、ブルキナファソ、象牙海岸、ガーナ、ギニア、マリ、中央アフリカ、セネガルでは血清学的にウイルスの存在が示唆されている。ラッサウイルスは4つの抗原型に分けられ、ナイジェリア型とシエラレオネ・リベリア型がラッサ熱の病原体で、中央アフリカ型(Mobala virus)とジンバブエ−モザンビーク型(Mozambique-Moperia vurus)は病原性が低い。
潜伏期は6-21日といわれ、急性発熱期の患者は気道分泌物の飛沫に強い感染力がある。また患者の尿は、発病後3-9週間は感染源となることに注意。


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