腎症候群性出血熱の症候

臨床上は発熱、虚脱、乏尿、利尿、回復の5期に分けられる。潜伏期は平均2-3週間で、発病の特徴は、急激な発熱、頭痛と顔面紅潮、倦怠感で、それに腹痛と嘔吐、背部痛が伴う。結膜充血と点状出血が3-7日持続することがある。急性の視野狭窄も本症に重要な所見。虚脱期は第5病日ごろで、突然の血圧低下、ショック状態と出血症状の悪化が、少なくとも数時間から3日程度続く。同時に重篤な蛋白尿と急性腎不全が出現し、尿量が劇的に低下する。症状の悪化が続けば、虚脱、出血、腎炎または尿量過多による電解質異常が原因で死亡する。虚脱−乏尿期におけるHFRSの死亡率は、韓国で5%、中国で7-18%、バルカン地方ではそれ以上といわれる。Seoulウイルスの場合は1%未満。利尿が認められるようになると、血圧がやや高めとなり、悪心や嘔吐を伴いながらも数週間かかって回復する。


本症の重篤度はいろいろである。重症型はアジアに多く(致死率は韓国で5%、中国で7-18%)、欧州ではハンターウイルスによるものは希で(スカンジナビアで0.5%)、Puumala 変種によるものも同様である。潜伏期は平均2−3週間で、発病は感冒様のひどい熱発と点状紫斑を伴って、急激に生じる。急性の視野狭窄を認めたら本症を疑う。第5病日に血圧低下からショックに陥り、大量の蛋白尿を合併する。この時期には斑状出血や内蔵出血を認めることがある。次いで急性腎不全から乏尿、無尿となり、しばしば長時間かかって再び多尿となり、後遺症を残さずに自然回復する。虚脱、出血、腎炎または尿量過多による電解質異常が原因で死亡することがある。
  良性型では出血症候群は認められないか不顕性で、これが最も多い。
 


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