エボラ出血熱の症候と診断


1.エボラ出血熱の症候
 潜伏期は通常2-9日、最長で21日。この後、発熱、筋肉痛、頭痛、咽頭炎、嘔吐、しぶり腹の粘血性下痢を伴って、急激に発症する。5-7日経つと、掻痒感のない斑状丘疹または小胞性丘疹が出現し、次いで細かい落屑が生じて、時おり軟口蓋にタピオカの粒のような粘膜疹を認める。熱発は稽留熱型で、比較的徐脈である。重症では意識混濁や昏睡、急性腎不全、細胞溶解性の肝炎、出血症候群(DICと肝不全)を認める。この臨床像から熱帯で見られる他の出血熱を鑑別する。致死率は概ね50-90%で、第8-9病日に死亡することが最も多い。
  血算では白血球数は正常か、リンパ球を主体にやや低下し、時おり形質球性のリンパ球とPelyer-Huet異常(多核白血球の核にくびれがない)を認め、血小板は著しく減少している。トランサミナーゼがGOT優位に上昇し、蛋白尿を伴う腎不全を頻発する。

2.エボラ出血熱の診断
 診断はELISA法(特異的IgMが8倍以上かIgGが64倍以上、または15日あけたペア血清の抗体価の4倍以上の上昇)によって血清学的に行なう。血液、尿、生検試料をVero細胞上で培養して、ウイルスを分離し、ウイルス型別を確定する。これらの検査は、バイオセーフティーレベル4の設備を有する幾つかの研究所でしか実施されていない。試料の送付も特殊コンテナを使用しなければならない。


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