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疫学


 狂犬病ウイルスはラブドウイルス科( Rhabdoviridae )に属すRNAウイルスで、大きさ150nm の弾丸型を呈す。
このウイルスは熱に弱く、脂質やトリプシン等で溶解するが、低温には強く、−70℃下または凍結乾燥により数年間生き続ける。

 狂犬病は世界中に広く分布するが、感染動物の駆除や予防接種によって、アイスランド、アイルランド、イギリス、スカンジナビア諸国、フィンランド、ポルトガル、ギリシャ、西インド諸島、ハワイ諸島、日本、台湾、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランドでは土着例の発生を見ていない。

 感染は哺乳動物の咬傷により、傷口から容易に感染する。熱帯の国々では、野放しのイヌが大きな問題となる。イヌの狂犬病は興奮型と麻痺型に大別される。
興奮型のイヌは狂暴な発症をし、大暴れした後、甲高い吠え方(狂犬病のなき声)をする。摂食は全くちぐはぐで、しばしばヒトや動物を咬み続ける。麻痺型のイヌは見付けるのが難しい。一見大人しそうに見えるイヌが突然ヒトを咬む。。野良犬の場合、通常3−8病日目、どんなに遅くとも15病日目には死ぬ。
  その他の野性動物もヒトにウイルスを伝染させることがある。ネコ、アライグマ、スカンク、マングース、コヨーテ(米国)、キツネ(欧州、カナダ)、オオカミ、ジャッカル(インド、パキスタン)、げっ歯類(カメルーン、レバノン、グアテマラ、コスタリカ)、、コウモリ(トリニダード、パナマ、アルゼンチン、コロンビア、メキシコ、ベネズエラ、米国)がそうである。
特にコウモリはウイルス保有率が高く、外見上健康なコウモリの数%がウイルスを保有している。洞窟を探検中に感染する例があるので注意が必要。中南米では、バンパイアコウモリ(吸血コウモリ)に家畜が咬まれて狂犬病に感染する。コウモリは発病の12日前から、スカンクは8日前から感染力があると云われている。

 ヒトへの伝染は咬傷によることが最も多く、粘膜部を舐められたり皮膚を擦過して起こる。極稀だが角膜移植による感染も記述されている。
特に顔面や手の咬傷では病巣が深く、広がりやすいため、最も危険である。幼児の受傷例や放し飼いのイヌやネコから深い咬傷を負うことが多い。ウイルスは感染動物の唾液中におり、咬まれた者の末梢神経を通って、脳に至る。ヒトの狂犬病の場合、咬まれてから脳炎になるまでの早さはまちまちで、通常は3−8週間である。潜伏期はウイルス量と受傷部位の中枢神経系への近さによるため、顔面の深い咬傷では10日、逆の場合は7年後に発病した症例も知られている。


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