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症候


  症例の大半は無症候感染で、これにより免疫を獲得する。
 髄膜炎型は感染例の約1%に見られ、発熱、頭痛、悪心・嘔吐、頚部硬直を伴うリンパ球優位の急性髄膜炎を引き起こすが、経過は順調である。
 麻痺型は数日から3週間ほどの潜伏期を経て、直接的な前駆症状なしに、口峡炎や消化管障害(下痢)を合併した発熱を見る。3-7病日目に熱発と筋肉痛から弛緩性麻痺を起こす。疼痛は激しく、上記の髄膜炎症状を呈す。流行期においては、この段階で腰椎穿刺を行なうと麻痺を増悪させるので、避けるべきである。
麻痺は突発的に生じ(朝方の麻痺)、患部は対称的であることが特徴的。上肢より下肢が侵されやすく、遠位筋より近位筋に障害が強い.末梢神経麻痺は低緊張型を呈し、反射消失、筋無緊張、運動機能障害を認める。尿閉は初期に頻発し、3−4日で消失する。患者が熱発中に新たな麻痺が突発することも稀にある。
延髄・脳幹が障害されると、脳神経麻痺に加え,脳幹網様体の障害による呼吸・嚥下障害を生じる。これは呼吸筋の麻痺、延髄中枢の障害、気道−食道合流点の麻痺(特に扁桃腺摘出者)、誤飲が原因である。このような障害は予後に関わる危険な状態なので、直ちに呼吸管理が必要となる。
妊婦は麻痺を発症し易く、流産や死産の危険がある。
熱発が収まった後は、麻痺が広がる危険性は少なくなる。どれ位の期間でどの程度回復するかは予測出来ない。数週間したら後遺症の程度を評価に入るが、社会基盤が脆弱な国では社会復帰が妨げられることが多々ある。
たまに感染から年余を経て、さらに筋麻痺が生じることがある(post-polio syndrome)が、これはウイルス感染の再燃を意味するものではない。


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