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症候
中程度重篤な通常の天然痘
潜伏期:無症候で、7-17日(平均12日)続く。発病は急激で、激しい悪寒と脈拍解離のない40℃にのぼる熱発、強い頭痛、広範な背部痛、嘔吐、心窩部痛、呼吸困難(天然痘性肺症とも称される)が、数分以内に突発する。理学所見では、赤い顔面、乾燥した粘膜、時に早期の発赤(猩紅熱様、麻疹様、紫斑様とあるが、悪性の恐れを示す)を認める。血算では白血球が単球優位に2万/μl ほどに上昇し、骨髄芽球をしばしば認めるが診断の方向付けになる。
発疹期:第3−4病日に始まる(図4−1)。発疹の特長は、顔面前部に始まり、急速に上肢から体幹と下肢に広がり、2−3日でいっきに全身にわたる。発疹は常に顔面と四肢(手掌と足蹠)に優位で、この経過はセロタイプによると考えられる。第1病日に小水疱が生じ、第2病日に丘疹は硬結して、第3病日にはこの小疱疹は真皮に入り込み、早期に臍状に極めて固くなって、内部に清明な液体を貯留する。第4−5病日には小水疱は真皮に達する膿胞に変わり、周囲は炎症性の暈で取り囲まれて、中心部は臍状に陥凹する(二次性の臍状化として特徴的)。第8−9病日には乾燥し始める。膿胞が破裂すると、内部が乾燥して黄色調を呈す。破裂しないで乾燥した場合には、痂皮は黒色または褐色調になる。第15−20病日には陥凹した瘢痕となって、これは生涯残る。これら一連の変化を認めるのが進行期である(カラー図譜XIV)。
発疹期と同時に粘膜疹も出現する。しばしば口腔と喉頭部で、破裂した病変がびらん局面を呈するのが重要である。
全身症状は、発疹と発熱に付随することが最も多く、末期には脾腫を触知することが時折ある。同部には膿胞を形成して、頭痛の他、せん妄や興奮を伴う疼痛を繰り返す。皮疹の乾燥と同時に完全な解熱をみるが、回復期は長く続く。
診断:典型例でも補助的検査により診断を確定し、患者を隔離、治療し、ワクチンを緊急に接種または再接種することによる。
臨床上認める型
重症の天然痘:死亡率は流行により非常に変動するが、15−20%とされる。
天然痘の合併症には、皮膚や粘膜の局所の化膿、敗血症、耳炎といった重感染があったが、抗生剤の普及で極めて希となった。ウイルス感染症では角膜炎、肝や腎への病変の他、神経系(脳炎、脊髄炎、神経炎)の病変がしばしば認められた。
融合性の天然痘では、全身状態は短時間に悪化する。表皮は膿が下に溜まって浮き上がり、患者は広範な運動感覚障害に陥って、重感染または昏睡により死亡する。
出血性の天然痘では様々な悪性所見を呈し、常に死の帰転をとる。
軽症の天然痘:以前にワクチン接種を受けた者によく見られる。軽微な所見がいろいろ認められるが、全身性の化膿病変はない。。予後は極めて良好である。
小疑天然痘
小疑天然痘は今世紀初頭に、カフール人*らによって初めて記録された型で、「小疑天然痘はここ20年来、ますます頻繁になったようだ」とある。小疑天然痘は真正の天然痘と同様に感染力があるが、この患者は小疑天然痘を周囲の者に伝播することはあっても、天然痘はうつさない。症状は軽症の天然痘の場合と類似する。
*南アフリカ南部のカフラリア地方に住む人々(訳者注)
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