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疫学


 Epstein-Barrウイルス:病原性をもつこのウイルスは、in vitroでの研究では、Bリンパ球上での結合はない(実際は臍帯血のBリンパ球)。しかしBリンパ球はこのウイルスのレセプターをもち、その感染は《背反性》の結果生じる。即ち、リンパ球が幾度か分裂して死滅する代わりに、in vitroでは不確定な増殖を起こし、時には抗体産生能力があるリンパ芽球系を生み出す。この系のうちの幾つかがウイルスを増殖し、他は無能なのである。しかし後者にも、EBV特異的核内抗原(EBNA)の存在、ウイルスゲノムの存在、など感染の痕跡があり、さらにはエピソーム型(細胞のゲノムに組み込まれていないDNA)から細胞内ゲノムに組み込まれる。 in vivoでは恐らくリンパ系器官(Waldeyer輪)のBリンパ球が侵されるのだろう。
  このような不規則な変異を遂げる細胞が増殖するかは、サプレッサー/キラーT細胞、即ちCD8のリンパ球によって制御され、へるぱー/インデューサーT細胞即ちCD4のリンパ球で活性化(不顕性感染)される。感染者の約20%は、唾液中にEBVを継続的に排泄し続ける。細胞性免疫不全の症例(Tリンパ球の機能障害)、つまり癌や免疫抑制療法中、または後天性免疫不全症候群(SIDA、第5部・第8章を見よ)では感染の再燃が惹起されるので、不規則な変異をするBリンパ球はさほど重視されない。
 
 EBVのマーカー(表3−2):抗ウイルスカプシド抗原IgM(VCA; Viral Capside Antigen)が最初に出現する。次いで一時的に早期抗体(EA; Early Antigen) が認められ、疫学的に価値のある抗VCAIgGが終生存続する。さらに不顕性感染では、抗EBV特異的核内抗原(EBNA; Epstein-Barr Nuclear Antigen)抗体が検出される。抗VCAIgMがあり、抗EBNA抗体がない場合は、最近の感染を示す。EBVの再活性化では、抗VCAIgGの増強と抗EA抗体の再出現、および時には抗EBNA抗体の減少(不均衡現象)が認められる。これらの抗体はいずれも蛍光抗体法で調べられる。ウイルスの検出には、臍帯内リンパ球による培養、細胞表面のEBNAの検索、モレキュラーハイブリダイゼーションによるウイルスゲノムの検索が行なわれるが、実験以外では利用されない。
 
 分布:この感染は世界中に広がっている。温帯の先進国では、16−25才の集団が伝染性単核球症に罹る。本症は唾液によって伝播し、通常は接吻でうつる(フィアンセ病、恋愛病、キッス病と称される)熱帯地方では初感染を臨床上認めるのは例外的で、感染はより早期に起こる。ウガンダでは3才までに殆どの小児が抗体保有者となる。シンガポールでは4才児で80%陽性である。伝播形式は不明である。

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