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トレポネーマ症の鑑別診断
これには2つの疑問を挙げることが出来よう。1つは、理論的にこれら4種のトレポネーマ症はどういう関係にあるのか?、もう1つは、熱帯地方から来た患者に対して、血清学的に《梅毒陽性》と出たときに、どう対応したらよいか?、である。

  トレポネーマ4種の関係
トレポネーマ4種の関係については議論が尽きない。トレポネーマは複数だとする者は、4種の鑑別に終始し、それより多数派の同一だとする者は、トレポネーマが単に疫学的な状況に従って、異なる形態の疾患を呈するのだ、と主張する。従来からの梅毒が性行為で伝染するならば、風土性トレポネーマ症と背反する。フランベジアは多湿の森林地帯、ベジェルは半砂漠地帯、ピンタはアメリカ大陸と風土性がある。
もしも現実に、フランベジアとベジェルの病原体が同一であれば、フランベジアの昔の流行巣にベジェルの流行巣から患者が移住して、新たな流行を起こす恐れがある。
性病である梅毒の拡散を防ぐために、重篤性の低い風土性トレポネーマ症までも撲滅の必要が生じる。これらは熟慮が必要な重要な問題である。

  熱帯地方から来た者が血清学的陽性を示したときの対応
熱帯地方から来た者が血清学的に《梅毒陽性》を示したとき、2つの失敗を避けねばならない。第一に、真正の性病性梅毒を誤診しないこと。第二に、抗体値が減少していない症例や単純な風土性トレポネーマ症の抗体値をいつまでも経過観察することである。
実際には患者の診察が重要である。病原体の検索、下疳の有無、病変や瘢痕の有無、地理的、民族的な背景を調べる。検査ではVDRL定性試験を行い、陽性ならば数週の間隔をおいた2検体を用いて、VDRL定量試験を施行する。TPHAはトレポネーマ感染後は殆ど陰転しないので、有益でない。
VDRLが強陽性(しかも検体間で値の上昇がある)のときのみ、治療の適応がある。benzathine penicillineを単回または3回に分けて(extencilline,240万単位を筋注)投与する。一方、治療を繰り返すのは無益である。VDRLが弱陽性で安定しており、TPHAが(定量で)陽性のときは、治療の必要はない。これは血清学的に残存しているだけで、社会への影響はない。減少するまで経過観察するのは無意味であり、職業適性や移民審査で不適確とする理由にはならない。
 
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