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症候
初期病変:最初の症候(下疳)は少なく、直ちに二次症状が続発する。目立たないので、粘膜面や屈曲側の皺を注意深く調べなくてはいけない。口腔粘膜上への斑が頻度が高い。最初は円形または楕円形の潰瘍性病変で、柔らかく、容易に出血しやすい。次に硬結となって、灰色がかった分泌液で覆われる。時おり過形成して、パピローマ様または菜花状を呈す。これは口唇の内側(ベジェルの診断では下唇を下げること)、頬粘膜、舌(過形成していることが多い)、口角部(偽性口角びらん)によく見られる。ヘルペスの初感染や欠乏性の口角びらん、ウイルス性の歯肉口内炎とは容易に鑑別出来る。病変部にはトレポネーマがいる。肛門−外陰部の粘膜斑は、皺に沿って(コンジローマ様を呈す)や、会陰部、包皮、陰唇に生じる。皮膚病変は極めて稀で、屈曲側の皺(腋窩や肘の皺)にパピローマ様の環状または匍行性病変を作る。早期の骨病変は他のトレポネ−マ症でも見られるが、しばしば脚と前腕の長管骨に多い。全身状態は完全に保たれ、脳髄液は正常のままである。
晩期病変:一般に数年の潜伏期をおいて出現するが、その間の所見は患者の血清が陽性であることのみである。長管骨と軟部のゴム腫は梅毒でも見られるものである。咽頭と鼻部では、時おり重篤な組織脱落が起こる。多形性の浅在性皮膚梅毒(偽結核性または乾癬様)の病変は普通に見られる。傍関節結節症またはピンタ様の白斑黒皮症も認められることがある。
ベジェルには知覚神経障害、動脈炎、動脈瘤は決して起こらず、散発的な梅毒と風土性梅毒が合併している症例では紛らわしいことが多い。
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