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病原菌
ペスト菌またはYersin菌は、Pasteurella pestisまたはYersinia pestis という 1-5μm 大の、運動性のない球菌である。メチレン青では双極性に染色され、Gram陰性である。胞子は決して作らない。好気性と嫌気性のいずれでもよく、通常の培地でゆっくりと発育する。最も好ましい条件は、peptone を添加したブイヨンを用いて、28℃で培養する。Yersin菌の抗原複合体は内毒素を産生する。本菌は熱、乾燥、消毒剤、 sulfamide系薬剤に弱い一方、寒冷には抵抗性が強く、冬期にはげっ歯類の死骸やノミの排泄物内で増殖する。毒性は極めて強く、幾つかの実験動物に対して病原性を示す。シロネズミはクロネズミより感作されにくい。モルモットでは、皮下接種するとリンパ節型を発症し、経鼻的に接種すると肺型を発症する。ハツカネズミは非常に感作されやすく、剃毛した皮膚に接種すると、過急性型を発症し、ペスト菌が検出可能となる。Yersin菌は実際では2つの株に区別される。東方株は、 Y.pestis orientalisがインド、東南アジアに見られ、西方株はY.pestis antiquaが中央アジアとアフリカに、 Y.pestis medievalisがロシア南部とクルディスタンにそれぞれ見られる。
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