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歴史と現状
キリスト教の初期から数えて、ペストは3回の世界的流行を起こしている。6世紀にはJustinien のペストが地中海沿岸全域に被害を与え、14世紀には黒ペストと呼ばれた流行がインドから欧州全域に広がり、2,500 万人が影響を受けた。18世紀までは大きな流行を見なかったが、最近の世界的流行は、1891年にモンゴルから始まり、蒸気船による航海のため、急速に世界中に拡大した。
衛生状態が十分に発達していた欧州諸国では、幾つかの港町を除き、限局的な流行で、容易に根絶されたが、熱帯の諸国のうちには、げっ歯類間のペストの他に、人間にもペストがしっかりと根付き、症例が発生した。1894年にAlexandre Yersinが香港でペスト菌を分離し、その2年後にRouxと共同でネズミの役割を解明、さらに1年後にはSimondと共にノミの関与を明らかにした。しかし野性のげっ歯類の疫学的な重要性は、BlancやBaltazard がロシアでの疫学調査で報告した最近まで知られることはなかった。
《ペストほどひどい病気はない》とされ(ペストは『悲観的=pessimum』から来ている)、その根絶は未だ解決の糸口を見ない。ペストの発病率は年によって変動が大きい。毎年数百例の報告があり、1988年には報告数は再び上昇して、アフリカで1,109、アメリカ大陸で52(うち米国からは15)、アジアでは202 で、世界中で死亡率は9.8 %となっている。1989年の状況は、アフリカ 315例、アメリカ30例、アジア 423例でその多くがベトナムから報告されている。
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