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治療
コレラに対する理想的な治療は、設備が整った病院で、患者数が少ない場合には、容易に実施可能と考えられる。しかし数十人かそれ以上の患者が、医療施設の整っていない、仮設の診療所に一度に押し掛けた時には、瞬く間に破綻し、乗り越えがたい困難に直面してしまう。学説では1%とされる死亡率も、最も悲惨な地域では50%にのぼり、10%を下回るまで改善することはないと証明され、隔たりがある。予後は偏に治療の迅速性にかかっている。疾病による混乱は、治療施設の設備による直接的条件と、治療に当たる者の質と量に反比例して起こる。
大量かつ急速な補液と電解質補給を数時間で行なうことが、本症の蘇生となる。乳酸カルシウム入り Ringer-Hartmann液を、重炭酸塩と等張食塩水で混合し、1,000ml を15分で静注し、可能であれば体重の10%に当たる、平均5-6リットルを3-5時間で滴下する。静注で強心剤またはステロイドを佐剤として併用することがある。1時間以内に脈は触知可能となり、虚脱、嘔吐、痙攣は5-6時間で消失するが、下痢は持続する。前述の輸液を、下痢の容態に応じて36-48時間、前よりゆっくり追加投与する。総計で平均8-12リットル必要となるが、下痢が持続する場合、4時間で20-25リットル補液する必要がある。もしも輸液や器具がない時は、嘔吐が治まっていれば、経口で塩、糖、重炭酸塩を投与する。小児に補液を行なう際には、輸液内容に留意し、カリウムは少なめにする。高齢者や心臓病をもつ者では、輸液の速度をやや遅めにする。
抗生剤治療はビブリオ菌に直接作用するものである。投与により下痢の期間を短縮し、保菌の持続期間を短くするため、他への感染の可能性を低下させる重要性がある。 penicilline系は無効で、tetracline系、 chloramphenicol系、sulfamethoxazole-trimethoprime(Bactrim)は有効である。しかし1日数回を3-4日間投与し続けなければならず、入院する余裕のない地域では不便である。コレラ菌が sulfamide系に感受性を示す場合は、 sulfadoxine(Fanasil)の単回筋注を施行することがある。本剤は腸胆管系に長時間作用するsulfamide で、作用時間は8日間である。下痢は2日から4日以内に止まり、コレラ菌は便中から3日以内に消失することが最も多く、持続しても7日である。簡易的な薬用量として、単回の注射では成人に1.5-2g、小児に0.5-1gが最も効果がある。 sulfamide系への耐性が頻繁な場合は、直ちにcycline 系に変更し、両方に耐性ならば、高価ではあるがfluoroquinolone 系とcephalosporine系を用いる。
実際には最も簡便な方法で最大の効果を上げるために、治療中の患者を病期に応じて大まかに分けて、テントや仮設病棟に収容しなければならない。患者を茣蓙や地面に横たわらせるのでなく、中央に穴のあいたコレラ患者用ベットに乗せる。半坐位にすれば嘔吐が抑えられる。排泄物を処理して、個人の衛生的に予防し、消毒と清潔を注意深く行なう。輸液のルート確保が難しい時には、あらゆる静脈が使われるが、頭蓋頂部と鎖骨下部は勧められない。輸液ボトルはプラスチック製の陥凹するものがよく、あらかじめ高めに吊して、流量が早まるようにする。各々の患者の空ボトルを見ながら、輸液量を監視する。熟練した看護婦が、少人数でてきぱき動けるチームを作って仕事をすれば、可能な限り最高の結果を短時間で得られる。 sulfadoxineを最初に1回投与しておけば、その後の抗生剤治療の手間が省け、病原菌の拡散を防げる。

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