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疫学


トラコーマは伝染性の慢性角結膜炎である。病原菌はChlamydia trachomatisで、結膜上皮細胞内に寄生する。
Chlamydiaの眼への感染は、疫学上2つの状況に区別される。
1つは従来型のトラコーマで、一眼から他眼に伝染し失明する潜在的危険があって、超浸淫型トラコーマと称される。血清型はA、B、C型があり、同一地域で異なる型が共存することもある。
もう1つは性行為で伝染するC.trachomatis(血清型C、K型)で、良性の経過を示し、《パラトラコーマ》または封入体性トラコーマと称されるものである。

地理的分布:盲目を来すトラコーマが超浸淫している地域は、世界中の貧困地帯と一致している。アフリカの地中海沿岸は、一部で改善が見られるものの、非常に強く浸淫している。熱帯アフリカは地域によって罹患率は様々であるが、気象上の要素は証明されていない。一方その他の農村部では、罹患状況は逆に低い。トラコーマは南アジアでも浸淫しており、東南アジアやラテンアメリカの一部でも、劣悪な状況の一部の地域では見ることが出来る。

地域的な分布:トラコーマの罹患率は状況により変化する。患者が多ければ多いほど、伝播は早い。重篤に罹患している地域ほど、大半の小児は1-2才で感染する。病原体保有者が広範なほど、住民の多くが罹患する。罹患が少ない地域では、一般に疾病の出現は遅く、その拡大も少ないことが多い。

伝播:感染者への直接または間接的な(衣類、ナプキン、汚れた手など)接触による。ハエは積極的でないが媒介の役割を果たす。近年の調査では雑居と顔面の不衛生が基本的な要因であると結論している。一方、安全水の供給が不十分であったり無理であったりすることが、この浸淫を抑えられずにいる。栄養不良はそれ自体、危険因子ではない。それ故、衛生の欠如からC.trachomatisへの繰り返しの暴露で、再感染が好発し、疾病を悪化させる。

自然経過
トラコーマは小児に初発する。結膜の慢性炎症が特長で、血行性で角膜を冒す(パンヌス)。この炎症性期は活発な感染力のある病期である。
トラコーマ性炎症は、超浸淫状況下では数年持続し、瘢痕化する前に2つの型を取る。1つは炎症が中程度になって、結膜に軽微な瘢痕を数ヵ所残し、機能的な後遺症のないものとなる。これを良性瘢痕性トラコーマという。
もう1つは結膜の炎症が広範で遷延するもので、瘢痕は消失するが、上眼瞼が収縮性の繊維化を起す。重症の瘢痕性トラコーマになると、眼板の変形と睫毛と角膜の偏位を生じ、睫毛乱生症となる。瞬きの度に睫毛が角膜を擦ると、取り分け有痛性の角膜潰瘍を来し、しばしば重感染となって、完全盲や不可逆性の角膜混濁に陥る。
つまりトラコーマは年余をかけて進行する疾患である。例を挙げればサヘルでは活発な炎症期は1-2才から始まる。瘢痕は炎症に引き続いて急速に生じるが、6-7才までは発現しない。成人では実際に瘢痕の病態を越えることはなく、一部の者が合併症を被る。30才以前には睫毛乱生症は稀であり、40才までに盲となることは少ない。
トラコーマ性の炎症が重篤であると、このような経過中に盲となる危険が生じる。重症化する際には重感染と再感染の2つの条件が関係する。
重感染は細菌性結膜炎の流行による。Streptococcus pneumoniae、Haemopholus influenzae, H.aegyptius, Morexella及びStaphylococcus aureusが最も多い起炎菌である。流行性結膜炎は一般に季節性に発生し、ハエの数に比例する。これはトラコーマ性疾患の重篤化に大きな影響を与えるだけでなく、睫毛乱生症を来した者には重感染から角膜潰瘍を生じて、急速に盲目に至ることがある。
実験上はC.trachomatisだけが分離を分離して接種した場合、良性のトラコーマ以外は発病せず、速やかに自然回復して後遺症もない。C.trachomatisの複数の再感染では、重篤なトラコーマ性炎症が惹起され、失明に至る危険性がある。
従って失明の危険は、C.trachomatisと他の細菌性病原体の伝播が相乗作用を起して生じる可能性がある。

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