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抗ライ菌薬の活性は、ハツカネズミの足裏にライ菌を接種して調べられる。この方法の一番の問題は、M.lepraeの細胞分裂に時間がかかり、ハツカネズミでは培養に6-12ヵ月かかることである。この手法を用いると、抗菌薬の活性、静菌剤、殺菌剤の強さの評価が可能となる。抗菌剤の感受性の検査は、薬剤を投与されたハツカネズミに菌がどの位発育するかで調べられる。耐性の強さも評価出来る。
スルフォン剤:DDS、即ち4-4-diamino-diphenyl sulfoneまたはsulfone-mere、dapsone(Disulone, Avlosulfon) は最も昔(1943)からある治ライ薬で、最も安いため最も用いられている。本剤は弱い殺菌剤である。錠剤は100mg と40mgで、筋注剤は油性の局所耐忍性のあるものと水溶性(Sulfone UCB, Dimasul-suspension) 筋注剤がある。服用後、DDSは殆ど完全に吸収され、組織とライの病変部に集積し、尿路系からゆっくりと排泄される(24時間で50%、10-15日で完全に)。DADDS、即ち4-4-diacetyl-diamino-diphenyl sulfone は筋注で投与され、DDSを急速に約2ヵ月間放散する。
毒性は少なく抑えられている。薬用量が増加すると、頭痛、悪心、G6PD欠損症例ではしばしば血液障害(溶血性貧血、メトヘモグロビン血症)、皮膚障害(薬疹)、肝障害(細胞溶解)、神経障害が生じる。
1964年以来、DDSに対する二次性耐性が出現し、インドでは23%、コスタリカでは100%と増加しており、25ヵ国で報告されている。一方、1977年からは一次性耐性例がますます増えている。このような耐性は、断続的な単剤治療や用量不十分の場合によく認められる。M.lepraeに対するdapsoneの感受性は、100mg 連日投与では、大半の株に感受性が保たれ、耐性の程度は弱いものである。それ故、15mg/dayの少ない用量は用いられず、実際使われる量は100mg/day とする。小児では体重に応じて用量を減らし、12kgまでは1/4量、25kgまでは半量、50kgまでは3/4量を与える。
rifampicine (Rifadine, Rimactan):最も強力な殺菌剤で、300mg カプセルと2%注射液がある。食後間をあけて経口投与すると、 rifampicineは殆ど全て吸収される。多数の臓器に移行し、特に皮膚に集積し、胆道系と尿路系から排泄される。
副作用はいろいろあるが(肝炎、皮膚発疹、消化管障害、血小板減少症)、頻度は少ない。1976年以降、二次性耐性が報告されている。最大の問題は費用がかさむことである。
薬用量は10mg/kg である。連日投与と月1回の投与に効果の有意差は証明されていない。そのため世界保健機関(WHO)は rifampicineの月1回の投与を推奨している。これにより、世界的な治療効率を落とさずに、治療原価を下げられる。しかしながら、経済事情が許せば、 rifampicineは連日投与が勧められる。週1回の投与は、重篤な免疫アレルギー性の障害(ショック、溶血性貧血、急性腎不全)を突然起こしやすいため、行なってはならない。
clofazimine(Lamprene):中程度の殺菌剤で、しばしば抗炎症作用の特性を活かしてライ腫反応を予防することが出来る。50mgと 100mg入りカプセルがある。経口投与による吸収度にはばらつきがある。親脂性の薬剤で、脂肪組織、内網系、皮膚に蓄積されて、マクロファージに取り込まれる。排泄は緩徐で、半減期は70日くらいある。
副作用は稀だが、下痢や掻痒が認められることがある。不都合なことに、正常な皮膚が赤橙色に染まり、病変部が可逆性、不可逆性に灰色の刺青様になることがある。薬用量は100mg/day である。
ethionamide(Trecator)とprothionamide(Trevintix、現在市販されていない):中程度の殺菌剤で、Trecatoには250mg 錠がある。消化管吸収と体内移行はよい。
副作用(消化管障害、細胞溶解性肝炎)のため、治療継続が妨げられることがある。 rifampicineと併用すると、薬剤性肝炎の頻度が増大する(併用により15%)。薬用量は連日5mg/kgである。
その他の薬剤:サルファ剤(sulfadoxine またはFanasil), thiambutosine, thiacetazone (TB1とTB2)は治療に十分な活性をもたない。新キノロン系特にOFLX)とある種のテトラサイクリン系(minocycline) はM.lepraraeの治療に有望だが、薬剤の費用が極めて高いのが難点である。
ライ反応治療薬:thalidomide(Contergan) はライ性結節性紅斑に最も有効である。催奇性のため、妊婦には絶対禁忌(日本では発売されていない)である。妊娠年令の女性に、避妊薬と共に用いることは出来ない。
reversal反応には、コルチコイドを大量(1mg/kg/day)に与えると著効する。ステロイド治療では、数ヵ月間かけてゆっくり減量すると、再発が少ない。 clofazimineには予防効果があり、LENの症例には全身投与を行なうが、数ヵ月間しか効果が続かない。colchicine, aspirine, 非ステロイド系消炎剤、コルチコイド(ステロイド依存症の危険があるが)、ある種の抗生剤(マクロライド系、クロラムフェニコール系)もLENに対して同様な効果を認めるが、実際には用いられない。
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