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ライ反応
免疫機序によりしばしば生じる反応で、抗菌剤による治療に先行または付随して見られる、急性の合併症である。重篤で、しばしば死亡の危険があり、常に末梢神経が冒される。一方、治療の中止も発症の重要な要因である。
この反応は2つの型に分けられる。I型反応にはreversal反応(up-grading反応)とdegaradation反応(down-grading反応)があり、II型反応にはライ性結節性紅斑(熱瘤)が出現する。これらの区別は臨床の診断基準、組織学的、免疫病理学的に判定され、治療や予後が検討される。

   I型反応:M.lepraeに対する細胞性免疫の変動によるもので、境界群(BT、BB、BL)の患者には発症しない。
reversal反応:(BL→BB→BT→TTと)類結核型に向って変化する反応で、細胞性免疫の強化を示し、理論上は患者にとって都合のよいことと考えられる。このような変化は、組織学的にはライ腫型浸潤が類結核型病変に変わり、免疫学的にはライ菌との競合を意味する。残念なことに、抗菌剤の効果は感染した細胞が破壊されて発揮され、類結核性の皮膚病変は知覚低下或いは知覚麻痺のため、reversal反応の経過中に神経の不可逆的な後遺症を残すことが多い。
臨床上はふつう、治療の初期(6-24ヵ月)に突然発症する。一般に1個または2-3個の皮疹が生じて、増え続けることがある。皮膚−神経反応が起こり、この皮疹は急激に浮腫性、紅斑性の縁辺が明瞭な病変に変わり、類結核型に向って変化する。しばしば有痛性、肥厚性の神経炎を発症して、この場合は数時間以内に麻痺に陥ることがある。患者は熱発せず、全身状態は保たれるが、緊急の治療が必要となる。
組織学的には皮膚にリンパ球が多数浸潤し、 Virchow細胞の消失と組織球の巨細胞性の分化が認められる。
光田式皮内反応は陽性化するが微弱で、reversal反応の経過中は遅延化する。
細菌学的検査(初めは陽性となる)では、菌量の明らかな低下と均一に染まる生きた菌体の消失が認められる。このような菌の変化は極めて急速であり、一回の治療効果で認められる。これが治癒した患者に起こった時には、疾病の再発を除外診断出来る。
全身性ステロイド治療はreversal反応の診断が予想されるときに、補助的に行なわれ、ライの疑診例が再発したものと区別される。この治療により、未治療例では50%に合併する、不可逆性の神経炎を防ぐことが出来る。

degradation反応はreversal反応と逆に向う。極めて稀で、境界群の患者がライ腫型に向って進行する。皮膚病変の数の増大、知覚障害の消失、両側性、対称性の神経病変、菌量の増大と均一に染まる生菌数の増加が見られる。
適当な抗菌剤の治療に反応するが、reversal反応を起こす恐れがある。

  II型反応またはライ性結節性紅斑(LEN):菌が非常に多い、LLまたは時おりBLに、治療の有無に拘らず発症する。LENは、免疫複合体またはArthus型現象(Gell−CoombsのIII型反応)と同一のものである。しかし近年は、helperT細胞の活動性増加により、Bリンパ球が刺激を受けて、細胞性免疫の介在が示唆されるデータがある。
は皮疹に引き続き生じ、ふつう治療開始後2年間持続する。抗菌剤治療の直接的な関与については、議論の余地がある。光沢があり、有痛性で、浅在性または深部に至る、縁辺が不鮮明な紅斑性結節を呈す。直径が数mmから数cmで、潰瘍化することがあり、水泡を伴うこともある。大腿、上腕、顔面に多く、数日間皮疹をみた後に、数週間の経過で認められる。場合によっては、皮疹は数か月から数年続くこともある。このような皮疹には、びまん性疼痛、変動の激しい熱発、全身状態の悪化、関節痛、たまに関節炎、虹彩炎、睾丸-副睾丸炎、鼻出血、蛋白尿を伴う糸球体腎症が合併する。急性神経炎は頻繁で、有痛性、肥厚性の神経炎を両側性、対称性に生じるが、機能障害は希かない。重症例ではこの皮疹から死に至る。LENの重症度は、再発の頻度による。神経炎の発作は、初期には消退するが、最後には運動−知覚障害を遺す。虹彩炎、睾丸−副睾丸炎、糸球体腎炎を繰り返すと、失明、不妊、慢性腎不全につながる。LENと従来云われる結節性紅斑との違いは、結節の出現部位のほか、LENには《挫傷性》の経過が見られないこと、非特異的血管炎(浮腫と多核好中球の浸潤が認められる皮膚の血管炎)の既往があること、顆粒状に染まるライ菌が認められること、で鑑別される。菌量には変化がなく、光田反応は陰性である。
thalidomide による治療に反応する。本剤は英国など一部の国では使用が認められている。
 
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