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ライ腫型またはLL型(いわゆる多菌型)ICD 030.0.
本型では皮膚病変が主要な症状で、境界不鮮明な、典型例では盛り上がった病変を呈す。神経病変はいつも見られるが、重篤でない。菌数、光田反応の陰性化、 Virchow細胞が出現する特徴的な組織像が重要である。

  皮膚病変:50-100もの多数の病変が、対称性、両側性に認められる。浸潤性または斑状の病変であるが、全体的に浸潤することがあり、この場合はライ腫と称される丘疹状結節を呈する。ライ腫は典型的には、凸状に突き出た浸潤性のものである。直径数mm(丘疹)から数cm(結節)の大きさで、深さはいろいろあり、健常な皮膚や紅斑の上にも認められる。体表のどこにでも生じ得るが、もっぱら顔面に見られる。病変の周囲から浸潤することがあり、この場合は縁辺が斑状になり、環状を呈する。小型の斑(直径0.5-2cm )で、白色調の皮膚では紅斑、褐色調の皮膚では色素低下が起こり、縁辺は不鮮明である。病変は非常に多く(100 ぐらい)、しばしば目立たないことがあり、見付けるのが難しい。感覚は全て正常である。両側性、対称性に病変の数を増す。顔面では、耳介への浸潤が多く、眉毛と睫毛の脱落、頭髪の脱毛も見られる。晩期にはライ腫の合併症状として、獅子面を呈す。

  耳鼻咽喉の症状:本型には極めて多く、ライ腫型ライの80%に認められる。これはM.lepraeの感染が直接原因である。 鼻粘膜病変は初期から常にあり、化膿性の鼻汁と鼻血がしばしば受診のきっかけになる。鼻咽喉の粘膜は炎症、潰瘍、出血性で、しばしばライ腫がある。合併症として、鼻中隔の無痛性穿孔、鼻軟骨の溶解による鞍鼻があり、特徴的な顔貌を呈す。舌炎、喉頭炎、咽頭炎はこれほど多くない。粘膜病変にはいずれも菌が認められる。

  神経学的所見:多数の神経が冒されるため、類結核型での所見と異なる。両側性、対称性に認められ、進行は極めて遅く、無症候性のことがしばしばある。それでも神経の肥厚やさらに後で知覚−運動機能障害を認めることが多い。

  内臓の症状:無痛性アデノパチー、女性化乳房、睾丸炎、肝の炎症が挙げられるが、症候のあるものは少ない。この他、神経原性の骨病変として、指趾骨の骨膜炎像、単発性または多発性の関節腔拡大が特異的所見として見られる。腎病変は糸球体腎炎で同様に多く、ライの経過中13-38%で認められる。

  ライ菌の検索:皮膚にはライ菌が塊状にいるので、その浸出液からは常に検出される。鼻粘膜では、進行していない例では陰性となるが、大抵が陽性である。菌量は5-6+である。
光田式皮内反応常に陰性となる。

  組織学:浸潤部の大型の組織球には泡状に見える空胞があり、塊状の菌を多数内包する(Virchow 細胞)。リンパ球は特別な配置を取らず、組織芽球と形質球が幾つか認める。この病変は皮膚の浅部と深部を占め、無細胞帯(Unna帯)で表皮と境される。皮膚付属器周辺では、大型のリンパ球は帯状または結節状に集簇する。神経組織へは菌は初期に侵入するが、細胞性浸潤を示すのは、さらに後になってからである。組織免疫学の研究では、リンパ球の大半は抑制型/細胞障害型のリンパ球である、フェノタイプT8であった。

  経過:自然寛解することもあれば、神経原性の皮膚−粘膜病変と眼病変が悪化して、全身状態が変化したり、二次性アミロイド症(肝−脾−腎)や downgrading反応(ライ反応の項目を見よ)で悪化することもある。腎不全で死亡することがある(慢性糸球体腎炎、アミロイド腎症、ごく稀に、間歇的に起こる感染症、重篤な声門浮腫)。本型は治療を繰り返しても治癒せず、延命するための治療となるが、新しい処方には治癒が期待される。

  慢性型:びまん性ライ腫型(またはLucio 型)は、中米とメキシコでよく見られる。皮膚へのびまん性腫脹により、顔面に皺が消失する。最初に眉毛、睫毛、時には頭髪が脱毛する。皮膚には菌が認められる。この型では、(Lucio現象という)皮膚の広範な壊死性水泡が、急速に潰瘍化する、重篤な反応を合併する。ヒストイド型は、赤色の豆粒状の、縁辺明瞭な結節で、集簇または融合することが多い。内部に紡錘型の組織球の増殖と、沢山の生きたライ菌が集簇せずに認められる。本型はスルフォン剤単独を投与し、菌が耐性化して治療に失敗したときに見られることがある。
 
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