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類結核型またはT型(いわゆる寡菌型)ICD 030.1.
この型では神経炎は不定だが、非常に重篤で、典型的な皮膚病変は凹凸がある。菌は欠如するか極めて希である。光田反応は陽性である、組織像は類結核性の肉芽を呈す。

  神経学的所見:神経幹部に非同期性、非対称性に生じる(多発性神経炎または単発性神経炎が各部に起こる)、末梢性ニューロパチーである。この神経炎は肥大性で、神経幹部が無痛性に肥大するが、しばしば数珠状に太くなって、感覚過敏または無痛性となる。この状態から急速に神経硬化を起こしたり、ごく稀に無菌性膿瘍を作る(菌の増殖には37度未満が好ましいため)。
浅在性の神経がより冒される。頻度の高い順に、尺骨神経、外膝窩坐骨神経、顔面神経、橈骨神経、正中神経、頚部浅神経叢が病変となりやすい。感覚障害は、初期には主観的所見(感覚異常、神経痛)と客観的所見(感覚鈍麻、感覚麻痺)に分けられ、温覚の障害が痛覚や触覚の障害より先に出現する。感覚麻痺は痛みがないため、火傷の原因となる。脈管の運動性障害は頻繁で、無汗症や刺激に対する反応欠如が認められる。運動障害は晩期に多く、日常生活に支障を来す。筋や腱の萎縮が生じ、尺骨神経支配部の外側2指が鷲手を呈す。橈骨神経障害では垂手に、正中神経障害では内側3指の麻痺が起きる。外膝窩坐骨神経障害には鶏状歩行が見られ、顔面神経麻痺は浅在性の分枝が先に障害され、特に上眼窩神経が冒されると、兎眼(上眼瞼筋麻痺による閉眼不能)を起こす。両側性顔面麻痺による兎眼ではantonin 様顔貌を呈す。神経原性の障害は皮膚の菲薄化と肥厚化、体毛の脱落、爪の変形(無痛性ひょう疽といわれるが、実際には有痛性が多い)、接地部の足底穿孔の原因となる。これらの病変は骨まで達し、重感染を起こして、慢性化する。骨格の変形も神経原性である。四肢の骨粗鬆症、中心部が欠落し、縁辺を残した骨の溶解が起こる。足底穿孔の合併症、骨病変、重感染は四肢の栄養吸収障害を引き起こし、手足の指、手、足の切断を招く。眼病変(角膜炎、角膜潰瘍)は、三叉神経分枝の障害による、神経原性角膜炎と兎眼の結果生じる。重感染すると悪化する。

  皮膚病変:類結核型の典型的な皮膚病変は、大型の斑(直径5-20cm)で、菌は全体または縁辺の一段高くなった部分に浸潤している。円形または楕円形で、浸出液が多く、隆起性紅斑を呈し、内側には緩やかに窪んで、中心部は時おり萎縮または色素低下を見る。一方、大型(直径5-20cm)の隆起性の斑を作るときは、縁辺明瞭で、白色調の皮膚では紅斑性、褐色調の皮膚では色素低下または銅色を呈し、中心部が自然治癒(再色素沈着)することがある。色素低下(決して色素脱出ではない)、しばしば認められる感覚鈍麻または麻痺、体毛の脱落と無汗症から、この病変を疑う。感覚鈍麻または麻痺は、程度の差があっても、3つの感覚(触覚、温覚、痛覚)に認められる。病変部の末梢を触診すると、感覚神経の肥大を認める。このような病変は数が少なく(1から最大で20)、非対称性である。3才未満の小児では、病変は紫色がかった単一性結節のことがある。これは6-24ヵ月で自然治癒し、陥凹性の瘢痕を残す。皮膚所見が先行すれば、神経所見が合併または後続して見られる。

  その他の病変:類結核性ライが皮膚と神経から全身へ播種しないときは、M.lepraeに対する細胞性免疫が保持されていると云える。

  ライ菌の検索:鼻分泌液と皮膚からは検出されない。病変部の皮下の分泌液では陽性のことがあるが、菌量はRidley分類で0か1+である。
光田反応:殆ど常に陽性で、しばしば強陽性で潰瘍を作る。
  組織学:類結核性肉芽には、類上皮細胞と巨細胞(Langhans細胞)を取り囲むように、リンパ球が冠状に浸潤している。表皮に接して肉芽があり、ここから浸潤していくことがある。神経周囲と皮膚付属器周囲の形態が、本型を疑わせる所見を呈す。抗酸菌は皆無か希である。免疫組織学の研究では、病変部のTリンパ球(胸腺由来のリンパ球)の大半が《helper-inducer》T細胞で、フェノタイプT4のリンパ球が免疫反応に関与することが知られている。

経過:自然経過中、皮膚病変としばしば神経病変が悪化する。時おり急性増悪することもあれば(ライ腫反応の項を見よ)、寛解の兆候を示すこともある。この《急性増悪》は治療中の患者でも起こることがある。治療により本症は治癒するが、神経病変と神経原性の機能障害は不可逆的である。皮膚病変は瘢痕を残さずに消失するが、色素低下は数か月残存し、感覚鈍麻または麻痺はふつう固定化して残る。

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