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初期
臨床検査と理学所見の目的は、ライの診断をつけ、型を決定し、病変部を調べて、病気の進行に対して最も適切な治療を確立することにある。検査の骨子はRidley-Jopling分類に従った検査結果を出すことである。
臨床所見:ライの診断は、皮膚と神経の病変で付けられることが最も多い。この他の臓器(眼球、骨、肝、関節など)の病変は少ない。
皮膚の病変は斑、丘疹、結節である。皮膚の脱色は本症を想起させる。感覚鈍麻または消失は本症に特異的に見られるが、ライ腫型では欠如する。
神経学的所見は、末梢神経原性である。末梢神経の肥大は本症に特異的で、その神経の支配部位の感覚運動障害を引き起こす。
皮膚所見も神経所見もないことは、類結核型ライでは稀だが、ライ腫型ライでは頻繁にある。
臨床検査
ライ菌の検索と数量化:鼻粘液の塗抹標本が診断によく用いられるが、経過観察するのに好ましくないとの理由から、繰り返し行なうことは出来ない。鋭匙(または自転車のスポークを先端を槌で叩いて作ったものが完璧である)を用いて採取する。皮膚からの採取は、皮膚または耳介の病変部から採るのがよい。皮膚を親指と人差し指で摘んで、メスまたは種痘針を使い5mm大に切除する。刃を90度回転させて、出血しないように皮内の分泌液をスライドグラス上に取る。菌の検索は、組織を bouin液で固定しても可能である。病理標本はいずれの場合もZiehl-Nielsen 染色をする。酸とアルコールによる脱色は、結核菌よりも早い。Lapeyssonie-Causse染色も行なわれることがある。
菌の数量化は、菌指数と形態指数で決められる。菌指数(または菌量)は、1視野ごとのライ菌の数を示し、菌の形態は考慮しない。Ridleyの対数性段階法に従い、0+から6+に分けられる(0+は 100視野に菌が1つもない、1+は 100視野に菌が1-10個、2+は10視野に菌が1-10個、3+は毎視野に菌が1-10個、4+は毎視野に菌が10-100個、5+は毎視野に菌が100-1,000 個、6+は毎視野に菌が1,000 個超)。菌が球形に密集するか否かは、菌が顆粒状または均一に染まるかを調べるのと同じである。形態指数は、生菌が均一に染められることを利用して、菌の総数に対する生菌の割合を調べ、治療の評価に役立てるものである。類結核型では、形態指数は陰性で、菌指数は2+を下回る。ライ腫型では形態指数は陽性で、菌指数は2+を越える。形態指数と菌指数は、ライ腫型の極型に近い患者では最も上昇する。
組織学的検査:皮膚生検は麻酔下で、メスまたは打ちぬき器を用いて、皮下まで十分深く採取する。病変部と健常部の皮膚が一体となるようにする。感覚神経の肥大部分を狙った神経生検は、皮膚病変が認められない場合のみ行なわれる。リンパ節、肝、骨髄の生検は希にしか実施されない。
皮内反応:M.lepraeに対する細胞性免疫が調べられる。診断や分類には用いられず、菌との接触を証明するものである。光田の皮内反応は、ライ菌を細かく粉砕して、1ml当たりライ菌1億6,000 万個に調製したレプロミンを普通用いる。実際にはアルマジロに接種して得られたレプロミンを使用している。これを0.1ml 皮内注射する。判定は接種後、21日目と28日目に行なう。直径3mm以上の丘疹を陽性とし、強さの程度は、3−5mmを+ 、5mm超を++、潰瘍形成を+++ とする。接種後48時間で、Fernandez の皮内反応と呼ばれる早期反応が生じることがあるが、診断上価値はない。これはM.lerpaeと他の抗酸菌との交差反応によるものである。ライ反応の発症時には強陽性となる。
血清反応:M.lepraeが感染するかは、抗M.leprae抗体の産生に係っており、この防御がなければ感染が起こる。いろいろな実用法のうち、GP1抗原に対するIgM抗体を測定するELISA法が最も利用される。抗体の量はTT型とLL型で上昇し、極大値を示す。菌指数とは見事に相関する。非特異的な免疫異常はLL型で多数認められる。リンパ芽球の刺激試験で反応が低下するのは、重要性に乏しい。この他、多クローン性のガンマグロブリン血症、クリヨグロブリン血症、循環性免疫複合体、抗核抗体、リューマチ因子、循環性抗凝固因子、VDRL試験偽陽性が挙げられる。
未決定型・1型(いわゆる寡菌型) ICD 030.2.
この型は平らな皮膚に病変を作るのが特長で、菌は検出されないか、されても希である。組織学的に特異的なものはない。小児にしばしば見られ、小児ライの30−70%を占める。
皮膚所見:縁辺が明瞭な斑で、色素が減少し、僅かに紅斑を呈す。時おり中心部に再度色素沈着する。感覚鈍麻、無汗症、体毛の消失は一定でない。病変の数は重要でない。
神経病変:神経炎は稀で、その他の病変は常に認められない。
菌の検出:鼻粘液の塗抹標本では陰性で、時おり病変部の皮下の浸出物から、菌が僅かに検出されることがある。
光田反応:陰性か疑陽性となる。
組織学:表皮は薄く、浸潤性で、非特異的である。リンパ球と組織球が血管、神経、皮膚付属器の周辺に浸潤しているのが、唯一特徴的である。
経過:いろいろである。ある研究では、70−90%が自然寛解する。
臨床上、組織学的に、類結核型やライ腫型に変化することがある。光田反応は陰性だが、抗GP1抗体は増強すれば、ライ腫型に変わっている恐れがある。治療、経過は常に良好である。
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