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病原体
病原菌はHansen菌、即ちMycobacterium lepraeである。ミコバクテリウム属に分類される、グラム陽性の桿菌で抗酸性を示す。細胞内に寄生することが必要で、標的細胞にはマクロファージと末梢神経細胞、特にSchwann 細胞がある。光学顕微鏡では、この菌は桿状で真っすぐの、長さ1.5-8 μm ,幅0.3-0.5 μm の大きさで、先端が丸い。Ziehl-Nielsen とその配合体で、独特の鮮赤色に染まり、抗酸性と規定される。他のミコバクテリウム属とは、Soudan黒で黒色に染まること、サフランで赤色に染色されることから鑑別される。これは本菌がin vitroで、DOPA-oxydase活性を促進する(無色のDOPAをメラニン黒に変色する)ためである。
Ziehl-Nielsen染色後、皮膚の血清学的、組織病理学的検索をすると、病原菌は顆粒状(むらのある染まり方)と均一状(均一な染まり方)に染め分けられる。この2つの形態はそれぞれ、変性による非感染型菌と活性のある感染型に一致する。
Mycobacterium lepraeの抗原性の大半は、他のミコバクテリウムのものと同様だが、近ごろGP1という特異抗原が発見された。この抗原は免疫複合体として効果を発揮する。将来のワクチン抗原としての期待は少ないが、(尿、血清の)診断に利用され得る。生理学的な観点からは、M.lepraeの特性には不可能なことがある。今日に至るまで、in vitroの培養が出来ないのである。
M.tuberculosisの培養にLowenstein培地が出来たように、この菌への培地を作らねばならない。培養がうまく行かないため、in vivoの接種が齧歯類(ラット、ハツカネズミ)やアルマジロに唯一行なわれている。動物の体内では、分裂時間は非常に長く(11-13時間)、増殖のための至適温度は37度より低い(27-30℃)。動物接種は鼻粘膜にライ腫から活性のある菌を植える。ハツカネズミの足底部に接種すると、細胞内増殖が可能であり、抗菌剤の感受性判定に利用される。(先天的に胸腺のない)ヌードマウスや胸腺を摘出し放射線を照射したハツカネズミ、或いはアルマジロに接種すると、ライ腫型ライに近い播種性感染を呈すため、研究実験に利用される。
 
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